小中校トイレ、7割洋式に 県内・文科省調査 財政事情などで市町格差は大きく 壬生97%、塩谷53%

 栃木県内公立小中学校のトイレのうち洋式便器の割合は9月1日時点で71.1%となり、前回2020年度調査から9.7ポイント増えたことが9日までに、文部科学省の調査で分かった。市町別では壬生町が最高で97.9%、最も低いのは塩谷町の53.8%だった。学校は災害時に避難所にもなるため、国はトイレの洋式化を推奨しているが、各自治体で財政面などの事情もあり格差は大きい。

 全国の平均は68.3%。トップは富山県の86.5%で、最も低かった山口県は47.2%だった。

 県内では、壬生町に続き那珂川町97.8%、那須塩原市87%、那須町86.7%、那須烏山市86.4%の順で高かった。7市町が8割を超えた。

 壬生町教委は19年度に国の補助金を活用して初年度に2校、20年度に8校を洋式化した。現在、和式トイレは屋外の10個のみとなっている。町担当者は「和式の使い方を知らない子どもが増え、トイレを我慢してしまう子がいた。改修後は順番待ちも減り、気持ちよく利用できているようだ」と話す。

 一方、洋式化率が低いのは塩谷町のほか足利市57.8%、矢板市58%、大田原市58.1%などで6割未満は5市町だった。県立校も54.9%にとどまっている。

 塩谷町は調査対象数に漏れがあったが、それらを含めても57.5%。同町教委は「子どもの減少に伴い、使用頻度が減っているトイレを全て改修するのは現実的に難しい」と説明。各市町で事情を抱える。

 前回調査で36.2%と県内最低だった小山市は、22年度から集中的に改修を行い59%まで上昇した。校舎内のトイレは、24年度末までに70%の洋式化を目指す。

 国は国土強靱(きょうじん)化の中長期目標で公立小中学校の防災機能強化を掲げ、洋式化率95%の達成年度を当初の30年度から25年度に前倒しした。衛生面からも洋式化を推奨しており、改修工事に対して国庫補助を行っている。

 一方、不特定多数の人が使うため座ることに抵抗を感じる場合などを考慮し、和式トイレを残す学校もある。

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