ヴィッセル「スポンサー新形態」が話題 電車内の選手ポスター販売、売り上げを育成組織に

中づりポスターが完売し、販売ブースでサポーターに手を振るパレンテの吉田忠史代表=10月21日、国立競技場

 サッカーJリーグ1部(J1)で首位を走るヴィッセル神戸のスポンサーで、コンタクトレンズ通販サイトを運営するパレンテ(千葉市)が打ち出した「循環型広告」が話題だ。選手を起用した中づりポスターを掲示後、ファンに販売。通常は廃棄される紙を再利用して環境に配慮するだけでなく、売り上げの全額をチームの育成組織に寄付する。付加価値の高い展開がサポーターに支持されている。

 販売するのは6~9月、神戸市営地下鉄海岸線の車内に出した中づり広告。「スポンサーの新形態」といい、同社の吉田忠史代表は「環境のことを考えると、捨てるのはもったいない。サポーターに(育成組織を支える)プチスポンサーの気分で買ってもらうことで、クラブと新たなつながりも生まれると思った」。狙い通り、数量限定ともいえるポスターは人気を呼んだ。

 10月21日に東京・国立競技場の鹿島アントラーズ戦で販売ブースを出したところ、用意した300枚(1枚500円)が45分で完売した。11月25日には、本拠開催の名古屋グランパス戦で出店を予定する。

 吉田代表は「単に物を売る時代ではなく、イミ消費の時代」と説明する。「イミ消費」とは社会貢献を意識した購買行動とされ、ヴィッセル神戸では過去にも事例がある。新型コロナウイルスの感染が広がった2020年、協賛試合が延期となったケンミン食品(神戸市中央区)が、配布予定だった特別パッケージの焼きビーフン1万食を急きょ販売。売上金を神戸市の医療従事者支援に充てるとし、1日で売り切った。(有島弘記)

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