苦情700件超が毎日、怒鳴られ謝罪、新人すぐ辞めていく…病院スタッフらストライキ、経営陣を批判 埼玉医労連が統一行動、再回答なければ全面スト検討へ ボーナス下げられ退職ドミノか

処遇改善を求めアピールを行う健和会労組の組合員ら=9日、三郷市

 埼玉県医療介護労働組合連合会(埼玉医労連)は9日、病院や福祉施設などのケア労働者の処遇改善を求め統一行動を行った。事務職員を中心に午前中のみストライキを実施した健和会労働組合(小倉喜子執行委員長)の組合員らは、三郷市のみさと健和病院で「8日の団体交渉で平均9万円のボーナス引き下げが示され、『辞める』と言う人が何人もいる。退職ドミノにつながりかねない」と声を上げた。

 埼玉医労連では同日、健和会労働組合を含む4組合がストライキを実施した。みさと健和病院の事務職員ら約50人が参加した集会で小倉委員長は「患者の命を守る私たちを経営陣が守れていない」と批判。「新型コロナウイルスの第9波でも頑張ったが、県が中等症の補助金を打ち切り経営が苦しい病院は多いと思う。労組としても訴えるが、経営陣も私たちの生活を守るためにリーダーシップを発揮すべき」と県や病院への働きかけを続ける考えを示した。

 同組合は、再回答がない場合、今月下旬に診療制限を伴う全面ストライキを検討する。管理職らが保安要員となり、最低限の機能は維持するが、集会では「命を守ることを前提に、慎重に判断すべき」という意見もあった。

 電話対応を担当する女性は「コロナ禍では毎日700件以上の苦情の電話。怒鳴られ、怒られて謝り、休憩時間は取れず、新人もすぐに辞めた」と苦しい日々を訴えた。

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