宝塚歌劇で急死した団員の遺族、事実公表と謝罪を要求「大きな瞳もいとおしい声も奪われた」

急死した宝塚歌劇団団員の遺族の代理人弁護士たち=10日午後、東京都内

 宝塚歌劇団宙組に所属する劇団員の20代女性が9月に急死した問題で、遺族側の代理人弁護士が10日、東京都内で記者会見した。弁護士によると、遺族は「(女性は)劇団より極めて過酷な業務を課されたこと、ハラスメントを受けたことにより、心身の健康を損ない、死亡に至った」と主張。劇団や阪急電鉄に対して、事実関係の公表や遺族への謝罪などを求めている。

 弁護士によると、女性は2023年度に新人公演出演者(研究科7年以下の劇団員)の「長の期」の長になった。9月29日の宙組本公演に向け、8月16日から稽古が始まったが、同日から本番までに6日間しか休みを与えられず、休日も準備に追われたという。同期間の総労働時間は400時間を超えた。

 また、稽古中、上級生に頻繁に呼び出され、「下級生の失敗はすべてあんたのせい」「マインドが足りない」などと怒号を浴びせられたという。

 弁護士を通じて発表された遺族のコメントでは「娘の笑顔が大好きでした。大きな瞳も、柔らかな頰も、いとおしい声も何もかも奪われた」とつづられ、「娘が何度も何度も真実を訴え、助けを求めたにもかかわらず、劇団はそれを無視し、捏造隠蔽を繰り返した」と指摘。「25歳の若さで生きる道を閉ざされ、奪われてしまった娘の苦しみを考えると胸が張り裂けそうです」と訴えた。

 同歌劇団では9月30日に宙組の団員が自殺とみられる状況で見つかった。同歌劇団は10月1日から宙組公演を中止。現在、団員が亡くなった背景や劇団内の課題を探るため外部の弁護士による調査チームを設置し、団員への聞き取りを実施している。

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