「待ってました!」常連客も喜びの声 台風15号被災の温泉旅館「油山苑」一部営業再開=静岡市葵区

2022年9月の台風15号で被災した静岡市の山あいの旅館がクラウドファンディングで支援を募り、営業を再開しました。

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<お迎えの様子>
「おかえりなさいませ」
「お待ちしておりました」
「本当にきょうはありがとうございます」

静岡市葵区油山の旅館、油山苑。山に囲まれ、豊かな自然が広がる「オクシズ」地域で1967年に開業しました。

県内産の旬の食材をふんだんに使った目にも美しい会席料理が名物ですが、この料理がお客さんの前に並んだのは1年2か月ぶりのことです。

2022年9月、静岡県内に甚大な被害をもたらした台風15号。油山地区は土砂崩れに見舞われました。

<油山苑 大塚トミ子大女将>
「後ろ側から全部、水が入ってきて、ここ、全部川です」

油山苑では大量の濁流が館内に川のように水が流れ込みました。水が引いても大量の泥や流されてきた災害ごみが残りました。

<油山苑 大塚祐史店主>
「(災害当時は)このがれきとか災害ごみをどうしようかしか頭になくて、もうやめようかって妻と話していました」

再開に向けて背中を押したのは片づけを手伝ってくれた人や常連客でした。

<油山苑 大塚祐史店主>
「ボランティアに来ている人やリピーターさんから『やる気を出して再開してくれませんか?』という話を聞いて、もう一度再開に向けて動こうかなと思ったのが正直な気持ち」

再開を決意した油山苑は2022年5月からクラウドファンディングに挑戦。わずか1か月半で393人から565万円もの支援が寄せられ、11月上旬、営業を再開しました。

<油山苑 大塚祐史店主>
「おかげさまでこんなにきれいにしていただいて。この仕事しか、やったことがないので、他にやれって言われても無理かな。皆さんに喜んで頂けるなら、ずっと料理を作っていけたら」

<客>
「大将の料理のファンだったので、凄く久しぶり。これで安心して、これからまたいただきに来られるなっていう気持ちです」
「待ってました!」

<油山苑 大塚祐史店主>
「ありがとうございます」

現在の営業は昼と夜のコース料理のみ。それでも確かな一歩を踏み出しました。本格的な宿泊の受け入れは2024年1月を予定しているということです。

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