女性漁師の鮮魚店 美川で浜辺さん開業「郷土の魚食文化発信」

接客する浜辺さん(左)=白山市美川永代町の鮮魚店

 白山市美川地区で地元の女性漁師が鮮魚店を開業し人気を集めている。店を経営する浜辺佳世(かよ)さん(43)は、深夜に船を出し、定置網に掛かった魚や手作りの総菜を早朝から販売。地元産の朝どれの魚介類が安価に手に入ると好評で、近隣の料理店主も訪れている。12日の美川里海きときと祭(北國新聞社後援)に初出店する浜辺さんは「海と川に育まれた美川の魚食文化を発信したい」と意気込む。

 美川で生まれ育った浜辺さんは10年ほど前、手伝っていた近所の漁師が引退した際、「漁業の伝統を守りたい」と船を引き継いだ。

 鮮魚店を始めたきっかけは近年、美川から氷見に魚を卸すようになって市場の開場が午前5時ごろに早まり、住民が市場を利用するのが難しくなったことだ。住民が通いやすい時間帯に新鮮な地物の魚を手にしてもらおうとの思いで4月に開業、店名は自身の漁船名から「きときと魚市美川丸」とした。

 10日は午前7時から店頭に初物のコウバコガニがずらりと並び、朝から多くの客が訪れて刺し身や弁当などを購入した。来店客からは「早い時間から営業していて助かる」「おいしくて安くて便利」との声が聞かれた。

 12日に開催される美川里海きときと祭では、地物のカニや店の人気メニューであるアジフライや昆布締めを販売する予定で、浜辺さんは「美川のおいしいものを多くの人に味わってもらえるように頑張る」と笑顔を見せた。

 美川里海きときと祭はJR美川駅白山広場で午前10時から午後3時まで開催する。手取川のサケを使った振る舞い鍋や、世界ジオパークに選ばれた白山手取川ジオパークの見どころを巡るウオーキングなども実施する。

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