グッドルーザー(1) バスケットボール男子 柳ケ浦 3年生が伝えた「仲間のために」という強い使命感 【大分県】

第76回全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)県予選

10月29日 レゾナック武道スポーツセンター

男子決勝

柳ケ浦75(15-24、18-27、14-21、28-22)94別府溝部学園

令和になってから県内の主要大会でタイトルを分け合ってきた柳ケ浦と別府溝部学園。今年のウインターカップ県予選の決勝もライバル対決となったが、これまでの試合と異なり大差で柳ケ浦が敗れた。中村誠監督が「気持ちが空回りした」と悔やんだように、2年生主体のチームは立ち上がりから波に乗れなかった。ミスから相手に速攻を許し、前半で18点のビハインドを負った。

キャプテンの広中郁織(3年)は「自分たちの長所である高さをうまく生かせなかった。試合の入りが悪く、流れを渡したまま前半を終えてしまった」と振り返り、東琉仁(同)は、「相手のキーマンである3年生の2人を警戒していたのに止められなかった」と悔やんだ。

強度の高い守備を見せた東琉仁

先発に3年生の名が連なる別府溝部学園に対し、柳ケ浦の3年生4人はベンチスタート。「3年生力」がそのままチーム力の差となった。それでも柳ケ浦の3年生はベンチから下級生を鼓舞し、コートに立てば守備から試合の流れを変えようと足を動かし、相手の勢いを止めた。3年生の必死のプレーを感じ取った山下凜生(2年)は「自分の役割を果たそうとする3年生のプレーを見て、自分の仕事をすることに集中できた」と得意の3点シュートを決めて追い上げムードをつくった。

最後まで諦めない3年生の姿勢は伝播したが、前半に許したリードを巻き返すことができなかった。中村監督は「今年のチームは3年生に力がないと言われてきたが、そんなことはない。プレータイムが少ない中で立派にプレーしてくれた。その姿は下級生の目に焼き付いている」と言い切る。誰かがミスしてボールを奪われれば、全力でそのカバーをする。そうした姿勢がメンバーに浸透できるチームは強い。3年生の全力プレーは、「仲間のために」という強い使命感がその背中を押していた。勝利をもたらすことはできなかったが、大事な何かを伝えられたはずだ。肩を落とし会場を後にする下級生に対し、東は「この悔しさを忘れず、お前たちの代は勝ち続けてくれ」と声をかけた。

ベンチ外の3年生たちも仲間を鼓舞した

(柚野真也)

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