作り手と観客、つなぐ銀幕 ムービーオンやまがた、鶴岡まちなかキネマでイベント

4年ぶりに来館し、舞台あいさつする井浦新さん=鶴岡市・鶴岡まちなかキネマ

 山形、鶴岡の両市で10日、映画の作り手と観客が一体となったイベントが繰り広げられた。山形市のムービーオンやまがたでは、第19回山形国際ムービーフェスティバル(YMF)が開幕。鶴岡市の鶴岡まちなかキネマでは、俳優井浦新さんが来館して出演作を上映する「新(あらた)まつり」が4年ぶりに開かれた。

鶴岡・まちキネに井浦さん

 新まつりは2019年に初企画され、3回目。井浦さんは、同館が20年に閉館後、再オープンに向けてクラウドファンディング(CF)を行った際、返礼品のデザインや、ロゴマークを手がけるなどした。父親が白鷹町出身で本県とのつながりがある。

 今回は井浦さん出演の「福田村事件」「アンダーカレント」「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」の新作3本を上映し、舞台あいさつとサイン会を行った。3作品はいずれも満席となった。

 「福田村事件」の上映後には、撮影時のエピソードを交えながら来場者の質問に答えるなどした。CFや同館復活の署名活動に参加した鶴岡市家中新町、早稲田大4年田中文(あや)さん(23)は「復活した大好きな映画館で新まつりに参加でき、井浦さんに感謝しかない」と話した。

 「あしたからも(まちキネに)足を運んで」と来場者に呼びかけた井浦さん。再オープンしたまちキネが気になっていたといい、「ようやく新作を持って来ることができた。お世話になった映画館のために少しでも力になれればと思っていた」と語った。

山形・3日間のYMF開幕

 YMFは、12日まで3日間の日程で始まった。期間中は新人監督によるコンペティションのノミネート作や招待作品を上映し、第一線で活躍する監督らの舞台あいさつが行われる。

 オープニングセレモニーで、YMF運営委員長の吉村和文ムービーオン社長は「観客と作り手がつながる場をつくろうと開催してきた映画祭も来年で20回を迎える。今回も皆さんと一緒に映画を楽しむ祭典にしたい」などとあいさつ。登壇した招待作品の監督やアンバサダーを務める俳優の菜葉菜さんらがYMFや映画への情熱などを語った。

 新たな才能の発掘、育成を目的にしたコンペティションは今回、296作品の応募があり、1次選考を通過した10作品を上映。村山市出身の村川透監督らが審査し、11日にグランプリなど各賞を発表する。

 11、12の両日は招待作品として岩井俊二監督「キリエのうた」や成島出監督「銀河鉄道の父」、村川監督の「白昼の死角」(フィルム)などのほか、山形の音楽文化を追った「オーケストラのある街」など本県ゆかりの作品を紹介する。

山形国際ムービーフェスティバルが3日間の日程で開幕した=山形市・ムービーオンやまがた

© 株式会社山形新聞社