<現地取材>地域CLに臨む全社王者刈谷!初戦は弘前にリードを許すも、DF井塚脩斗の劇的同点弾で引き分けに持ち込む

全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2023の1次ラウンド初戦が10日に全国各地で行われ、グループB宮城県会場では全国社会人選手権覇者の東海社会人1部FC刈谷が東北社会人1部ブランデュー弘前に2-2と引き分けた。

ドラマは最終盤にあった。

この日弘前の猛攻に押された刈谷は前半0-2と圧倒され、後半4分にFW野村柾斗の反撃弾で1点差とするも弘前のゴールを割れずにいた。そして試合終了間際の後半49分。セットプレーで右コーナーキックにDF井塚脩斗が頭で合わせて値千金の同点弾を奪った。

ラストワンプレーで敗戦濃厚から勝ち点1をもぎ取った刈谷イレブンの表情は、疲労と安堵の表情がうかがえた。この日同点弾を決めた井塚は「自分たちバックラインのミスからの失点だったので、責任を感じていた。あそこでチャラにできて良かったと思います」とホッとしていた。

大会開催前から刈谷の粘り強いと関係者から定評があった。全国社会人選手権では粘り強い守備を見せてチャンピオンに輝いており、5日間連続で試合をこなす地獄のスケジュールを乗り越えたタフネスはこの大会でも生きている。「あそこで味わえたお陰であまり緊張せずにできたんじゃないかと思います。もちろんもJFL昇格っていうのを目標にしている。絶対に負けられない戦いなので、勝ち進んでいきたいです」と背番号5は胸を張った。

最終節は宿敵との決戦

この日中盤に入ったMF尾﨑僚は劣悪なピッチコンディションに苦慮しながらも、味方に支持を飛ばしながら試合をコントロールしようと奮闘していた。「ピッチ見た瞬間になかなか厳しいなという印象はあったんですけど(苦笑)。でもその分やることは前に蹴って、走ってやろうとチームで決めたので。そこを立ち上がりから前半にかけては徹底できなかったかなと思います」と前半弘前に押し込まれた原因を反省した。

前線に向けてコーチングする尾崎

後半はサーフェスに対応したイレブンは息を吹き返したように弘前に猛反撃を敢行して、なんとか試合終了間際に追いついた。敗色濃厚だった状況を何とか価値ある勝ち点1に結び付けてみせた。

尾崎は「僕たちは(あと)2日連続(会場が)ここなんです。そういう点も含めてもう分かっているんで、もう1試合(ここで経験したことを)生かしつつやっていきたいと思います」と意気込んだ。

全国社会人選手権では初優勝を飾り、地域CLの切符をつかみ取った。5日連続で試合をする過酷なスケジュールは世界を見渡しても類を見ない過酷さがある。それでもそこで勝ち得たからこそ自信を手に入れた。

「あそこで5日間連続の試合を勝ち切れたから自信にもつながりました。走るという強みも十分に生かしての結果だったと思う。今回は3日連続ですけど、そういう部分をしっかり出していきたい。あとの2試合は先に先制点を決めて、自分たちのペースで有利に進められるかなと思います」と背番号10は語った。

最終節の相手は同じ東海1部wyvernだ。今季無敗でリーグを制覇した宿敵にイレブンは闘志を燃やす。「今年、僕たちがリーグ戦で唯一負けた相手です。wyvernに対して悔しい思いは全員が持ってると思う。リベンジする機会を与えてもらったぐらいの感じで、徹底して勝ちたい」と尾崎は気を引き締めていた。

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惜しくも11日に開催された福山シティとの一戦は2-3で惜敗した。それでも最終節は宿敵との対決が待っている。東海対決を制してサポーターに勝利を届けてみせる。

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