熊沢重文騎手・引退式「頑張れの声で何度も救われた」

11月11日、京都競馬場最終レース終了後、約37年に渡る現役生活を終えた熊沢重文騎手の引退式が執り行われた。

同騎手は1986年のデビュー以来、JRA障害歴代1位となる通算257勝を挙げ、JRA史上初となる平地・障害双方200勝、平地・障害の双方でG1勝利を達成。2016年には長年に亘る平地・障害双方での活躍が評価され、JRA特別賞を受賞するなど、二刀流ジョッキーとして活躍した。

「生まれ変わっても騎手を選ぶ」

熊沢重文騎手コメント
「18歳で騎手になり、37年と9ヶ月。僕に騎乗を依頼してくださった馬主様、調教師・厩舎スタッフの皆様、騎手のみんなに心より感謝申し上げます。また、ファンの皆様からの温かい声援も大きな力になりました。ありがとうございました。そして、この素晴らしい環境で競馬に騎乗させてもらえたのは日本中央競馬会の皆様はじめ、僕たち騎手を支えてくださる多くの関係者のお力があったからこそと思っています。思い出はたくさんあります。有馬記念のダイユウサク、中山大障害のマーベラスカイザーなど、僕にG1を勝たせてくれた馬たちはもちろん、どの馬も一生懸命走ってくれました。悔しいこともありましたが、騎手としての幸せを、こんなにたくさんくれた馬たちに感謝です。また、何度も大きな怪我をしてきました。くじけそうになる気持ちを、厩舎の方々、また、ファンの方からの、熊沢、頑張れ!の声で何度も救われました。それによって、必ず戻ってやる!という気持ちになり、ここまで続けることができました。もっと乗り続けたいと思いましたが、昨年の小倉で落馬。首を骨折し命にもかかわる大怪我。引退式に来ていただいたお二人の医師のご尽力により、無事、手術を受け、一度は復帰しましたが、首の状態が悪く、落馬によるリスクが高いと、ドクターストップとなり、鞭を置くことを決意しました。幸い、日常生活に支障はありません。今後のことはゆっくり時間をかけて考えていきたいと思っています。引退しますが、騎手という職業に付けたことに心から感謝します。また生まれ変わってきたとしても、騎手を選ぶと思います。長い間、応援していただきありがとうございました」

© 株式会社競馬のおはなし