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東京都台東区の都立蔵前工科高校設備工業科の1年生28人が今年、初めてねぷた作りに挑んだ。青森県五所川原市の五所川原立佞武多(たちねぷた)に魅せられた担任の五十嵐義徳教諭(52)が指導した。四苦八苦して仕上げた作品に「まだまだ」と決して満足していないが、生徒との共同作業に達成感を味わい「来年も」と意気込む。
「四神相応 せい龍」と題した竜の顔をしたねぷたは、高さ・幅ともに1.6メートル、奥行き2.5メートルほど。10月末の学校祭で展示した。制作した生徒のリーダー格・征矢臥龍さんは「竜の口の周りのろう塗りが大変だった」、本田和隆さんは「(骨組みの)針金の加工に苦労した。思った以上に大きかった」と驚き、ぎろりとにらみを利かせた顔つきに「今にも動き出しそう」と笑う。
五十嵐さんは10年ほど前、ねぷた作りに取り組む知り合いの教諭の影響で「自分の学校でも」と考えた。その教諭の同僚で、五所川原工業高出身の教諭の仲立ちで五所川原市の「立佞武多の館」を見学した。
本物の迫力は別格だった。高さ約23メートル、圧倒的な存在感を誇る巨体に「鳥肌が立った」。立佞武多の参加団体で最も歴史のある「三振り會」の作業小屋にも案内され、ねぷたのいろはを教わった。初めて会ったにもかかわらず宴会にも誘われ、盛り上がった。
五十嵐さんは「閉鎖的」だと思っていた東北の人が会ってみたら開放的だったことに驚き、「一緒にやろう」という誘いを受け、毎年夏、太鼓、笛や引き手として祭りに参加するようになった。今年、久々に担任を受け持ったことで「クラスをまとめよう」とねぷた作りを提案した。
本物を知らない生徒たちは、インターネットの動画を見て「どうやって作るのか。何から手を付けたらいいのか」と悩んだという。8月の五所川原立佞武多終了後に始まった作業は難航し、完成は学校祭直前。色付けは間に合わず、生徒たちと一緒に-と考えていたはやしも実現できなかったため、悔いは残った。
だが、教え子と一緒に汗を流すという目標は達成できた。五十嵐さんは言う。「来年また挑戦してみたい。生徒たちには本物を見せ、引き手の減った立佞武多に参加させたい」
たまたま都内に滞在中、生徒たちに助言した三振り會の制作者・菊地隆次さん(58)は「苦労すると思ったがよくやった。東京で作るなんてすごい」と褒め、「生徒たちが力を合わせてやり遂げたことは上手、下手は関係なく意義がある。学校の伝統としてこれからも作っていってほしい」と願った。