独特の世界、浪曲に浸る 山形で曲師沢村さん(東根出身)初公演

観客を魅了する浪曲師真山隼人さん(左)と東根市出身の曲師沢村さくらさん。沢村さんは初の凱旋公演となった=山形市・文翔館議場ホール

 浪曲師真山隼人さんと東根市出身の曲師沢村さくらさんの公演「浪曲の世界へようこそin文翔館」が11日、山形市の文翔館議場ホールで開かれた。来場者は真山さんの独特の節と語りに合わせて緩急を付けた沢村さんの三味線が織りなす世界に浸った。初の凱旋(がいせん)公演に沢村さんは「山形で公演できてうれしい。いろいろな方が来てくれて楽しかった」と笑顔を見せた。

 2人は浪曲の歴史や見どころなどを解説し、桂三枝さんの創作落語を基にした「鯛」と古典的な人情話「徂徠(そらい)豆腐」の2席を披露した。真山さんは「浪曲は普段話している言葉を節にしており、節で喜怒哀楽を表現している。楽譜はない。曲師のかけ声も重要で、それぞれの曲師に魅力がある」などと説明した。

 「鯛」は、日本料理店のいけすで食べられるのをなんとか避けようとするタイたちの話。沢村さんは真山さんの語りに合わせ、かけ声で悲しさを表し、力強く演奏して盛り上げ、物語を彩った。元山形県住みます芸人の落語家笑福亭笑助さんがゲスト出演した。

 酒田市から訪れた会社員佐藤有穂さん(45)は「声や節に迫力があった。『鯛』は現代っぽい話だが、ほろっとする部分もあり面白かった」と話した。

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