滋賀県東部の西明寺に「なで猫」 伝承にちなんで設置「参拝者の癒しに」

黒猫伝承にちなんだ「なで猫」を紹介する中野住職(甲良町池寺・西明寺)

 湖東三山・西明寺(滋賀県甲良町池寺)が、寺の黒猫伝承にちなんだ木像の化仏「なで猫」を設置した。寺は「多くの参拝者の癒やしになるし、親しんでほしい」と願っている。

 寺によると、江戸時代の延宝年間(1673~81年)に京都山科の毘沙門堂の大僧正が、西明寺門前で見かけた2匹の黒猫を追うと、荒れ果てた本堂を目の当たりにし、地頭に全面復興を命じたなどと伝わり、黒猫を仏様の使いとしている。その縁か、境内には2匹の黒猫が3年前にやってきて、参拝者を癒やしているという。

 なで猫は、寺の信徒から寄進の申し出を受け、中野英勝住職が米原市の彫刻家森靖一郞さんに依頼。このほど完成し、本堂向拝の縁側に設置した。クスノキの一木造で左右2体あり、それぞれ高さ53センチ、幅28センチ、奥行き32センチで、金運を招く左側の猫は口を開け、招福を願う右側の猫は口を閉じ、「阿吽(あうん)」を表現しているという。

 表面には美しい木目が現れ、全身は滑らかな曲線で丸みを帯びている。寺は「なでると伝承の猫のように次第に黒くなっていくので、多くの参拝者になでていただき、功徳を持ち帰ってほしい」としている。寺では黒猫の「猫集印」も販売している。

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