気分転換にも注意が必要!?やる気が出ないときに気をつけたいこと

忙しかったりショックなことがあったり、精神的にも肉体的にも疲れてくると、失われるのが「やる気」です。

何とか会社には行けるけれど、仕事にも前向きに取り組めず家に帰れば横になるだけなど、やる気のなさは「ダメな自分」を連れてきます。

どうにか元気になりたいとあれこれ手を出すのもありですが、心が整っていない状態では落ち着いて行動ができないため、かえって大変な思いをする可能性もあります。

「やる気が出ない」ときのために意識しておきたいことについて、お伝えします。

「気分転換」で無理をするのは禁物!

ある女性は、仕事でミスをして部署の仲間に迷惑をかけてしまったことで落ち込んでいました。

そうでなくても、先日はレンタルしていたDVDの返却を忘れていて延滞金を払うようなことがあり、気落ちしているところに重なった失敗でした。

これで「完全にやる気を失った」と話す女性は、出勤するのも億劫で帰宅すればヤケ酒を浴びる始末、精神的にとてもつらかったそうです。

それでも、そんな自分が嫌で「何とかしなければ」と思い、気分転換にと以前友人から勧められていたスマートフォンのゲームをダウンロードします。

「好きな漫画のゲームで、気晴らしになると思いました。最初は推しのキャラを動かすのが楽しくて、ゲームに没頭している間はテンションが上がっていましたね」

ところが、「キャラを強化できるアイテム」は購入が必要で、課金は避けたかった女性は何とかアイテムのない状態で強くなろうとし、今度は何時間もプレイするようになります。

夜中の3時までやり続け、睡眠不足の状態で出社してまた些細なミスを起こし、上司に「集中力不足」を指摘された女性は、今度こそ「何もかもイヤになった」と楽しんでいたゲームまでやめてしまいました。

やる気を出す目的の気分転換が、かえって女性の状態を悪くしたのですね。

「あのとき素直に課金していればとも思うし、買わないのなら育成に時間がかかるのを理解して無理をするべきじゃなかった」

と、女性はそのときを振り返りました。

やる気のなさをどうにかするための気分転換では、自分に無理を強いるものであってはならないのですね。

「やる気」を生むのは「楽しい」という気持ち

筆者も経験がありますが、落ち込んで何もする気が起こらないときほど、一方でそんな自分に焦り、衝動で目の前の「気分転換」に飛びつきます。

「楽しい気分になれるだろう」という思惑は、最初は新鮮さからすぐに叶いますが、それを持続するためにまた新しいストレスが生まれると、結局は始めたときよりメンタルが下がるようなこともあります。

やる気を生むのは動く自分を前向きに受け入れられるときで、そこには「楽しい」「やりがいがある」など、することそのものに価値を見いだせる状態です。

それなら、気分転換で新しいものに手を出すときほど、「続ければどうなるか」を想像するのが必須。

ゲームなどある意味課金を前提にしたものは、それができないなら「弱いキャラのままの自分」「課金したプレイヤーとの差」から逃げられず、それにストレスを覚える可能性があることを考える必要があります。

やる気を生むのが「楽しい」という感情なら、新しいことを始めるときは自分の求める楽しさがどこまで叶うか、を一度は想像してからが無難で、そうすることで無理を避けられます。

そんなことに頭を使う余裕がないのがやる気のない状態ではありますが、「手を出した挙げ句にさらに落ち込む」ような事態こそ本来は避けるべきで、心が不安定な自覚があるのならあえて「堪える」のを意識すると、それ以上の落ち込みを防ぎます。

それなら、失敗しない「楽しい」には、どんなものがあるのでしょうか。

やる気が出ないとき、意識したいこと

1: 好きな映画や漫画など、慣れた「好き」を取り戻す

お気に入りの映画や漫画、小説などは、心にそのときの「好き」が刻まれていて、ふたたび目にするとその感情が蘇ります。

慣れた「好き」は、落ち込んでいるときほど実は新鮮で良い刺激を与えてくれるもの。

逆境にめげず立ち上がる主人公を見て「私も」となる経験は、持っている人も多いのではないでしょうか。

新しいものでなければ刺激はない、と考える人もいますが、やる気が出ないときは慣れた「好き」を取り戻すことでメンタルが上がります。

2: 体力の底を作るために「体をあたためる」

やる気が起こらない、ストレスが全身に広がっている状態は、動きが鈍く実際に行動力が滞るため、体が冷えやすくなります。

体の冷えは内臓のはたらきを弱め、便秘になったり食欲が失せたり、活動にいい影響を及ぼしません。

何かを楽しむにも体力が必要で、前向きな心を取り戻すには同時に体の調子も整えるのが正解です。

体をあたためると血管が開き、内蔵が正しくはたらければ消化も進み、食事を楽しむ意識も戻ります。

暑い夏であっても、シャワーで済ませるのと湯船に浸かるのでは疲れの取れ方がまったく違うのと同じで、体にしっかりと熱を入れる意識があると暴飲暴食を避けられるのもメリットです。

気分転換に好きなものをたらふく食べる、というものもあり、それが間違いだとは決していえませんが、体に負担をかけることなら度が過ぎればやはり毒、無茶をするより体をいたわる食事が疲れを防ぎます。

飲み物であったり食べ物であったり、また入浴であったりと、体をあたためることは身近な生活で叶います。

3: 「規則正しい生活」は安定したメンタルの基本

ストレスが強いと、夜ベッドに入っても動悸がして眠れない、という人は多いもの。

やる気が出ない状態では逆に「いつまでも眠っていたい」と思う人もいますが、普段の生活のリズムを崩すとそれが不調を強くします。

規則正しい生活が体にはいい、なんていうのは当たり前に知っていることですが、やる気が出ないときこそ意識したい一つです。

休日の朝に起きるのが億劫でも、ひとまずベッドから出てコーヒーを淹れる、洗濯をするなど、いつも通りに体を動かすと「それをしなかったとき」のストレスが生まれません。

何をするのも面倒で放っておきたい、でも放置すればその悪い結果を受けるのは自分であり、結局は「ダメな自分」を実感する負のスパイラルから抜け出せなくなるともいえます。

朝食を食べるのは無理でも洗濯機を回して干す、それができれば生活の環境は大きくは崩れないですよね。

メンタルが落ちていくのを加速させる一つに、身を置く環境の悪さがあります。

散らかった部屋に「いつもは」落ち着いていられても、やる気のないときはそれが嫌なものに映り余計に心の状態を悪化させるので、「生活を今より悪くしない」ことは、前向きさを取り戻す大切な鍵だと筆者は考えます。

規則正しい生活は安定したメンタルの基本であることを、落ち込んだときこそ思い出したいですね。

やる気が出ないときは「落ち着けるもの」に触れる

ため息ばかりでどうにも体が動かない、楽しかったものも今は触れたくない、そんなやる気のなさは誰もが陥る可能性があり、いつそうなるかもわかりません。

それでも、仕事に家事にとするべきことからは逃げられず、何とかしたいとあがくのもまた、当然だと思います。

気分転換は思考や気持ちの切り替えに確かに有効ですが、取り戻したいのが楽しい気持ちと心の落ち着きなら、無理をしない範囲で手を伸ばすのが正解。

先ほどの段で書いた「慣れた好き」を改めて受け入れるのはいい意味での手っ取り早さがあり、人を巻き込むことなくできるもの。

食事でも家事でも、自分の力でどうにかなるものに目を向けると、その結果の「充実」を楽しめる大きな喜びを受け取れます。

やる気を生むのが「楽しい」という感情なら、実際にそれを与えてくれるのは自分が落ち着けるものであるのも事実です。

いきなり超回復するような効果は狙わず、心と体に負担をかけない過ごし方が、何よりも自分を大事にする方法ではないでしょうか。

やる気が出ないと、その自分が周囲に迷惑をかけることもあって余計に焦ります。

だからこそ、自分の心と体の状態を丁寧に見つめ、大切にする意識が回復には欠かせません。

「楽しい」を無理のない範囲で取り戻す意識を持ちたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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