生き抜いた果実を、全国へ―。高級ブランドとして知られる岩手県奥州市の「江刺りんご」は本年の出荷量が昨年の半減となる見通しだ。春先の低温による凍霜害や夏の猛暑にクマの食害も重なった。産地を応援しようと、11日に行われた主力品種サンふじの初競りでは最高ランクの特選(1箱28個)に昨年と同じ100万円の高値が付いた。生産者らは「大変な災害だ」と肩を落とすが、苦境で実った自慢の味を消費者へ届けようと前を向く。
初競りは盛岡市羽場の市中央卸売市場で午前6時半過ぎに始まり、卸売業者ら約50人が参加。サンふじ192箱、シナノゴールド160箱が出荷され、威勢のいいかけ声とともに次々競り落とされた。
岩手江刺農協(奥州市)によると、本年産のサンふじの出荷は昨年比52%の4万8千箱(1箱10キロ)、江刺りんご全体では12万2千箱(昨年比51%)を見込む。量は少ないものの、糖度は高いという。