京都駅で救急事案、すぐ駆け付けます 周辺ホテル・商業施設従業員による「救護班」発足

京都駅周辺の救急対応を担う救護班の発足式(京都市下京区・京都駅ビル駅前広場)

 多くの市民や観光客が利用する京都駅周辺の応急救護を担う「救護班」が10月、下京消防団に発足した。同駅付近のホテルや商業施設など5社の従業員が消防団員として新たに加入し、迅速な対応が求められる急病人や事件事故、災害の発生時にいち早く駆け付ける。

 大型商業施設が集まる京都駅は一日約50万人が利用している。京都市消防局によると、駅周辺では年間約1200件の救急要請があり、増加傾向にあるという。新型コロナウイルス対策が緩和され人出が増える中、救急隊が到着するまでの応急処置を担う救護班を設けた。

 救護班は、京都駅ビル開発、ホテルグランヴィア京都、ジェイアール西日本伊勢丹、JR西日本京都SC開発、JR京都駅の従業員33人で構成。10月下旬にあった発足式では、急病人が発生した想定で訓練も行われ、班員がAED(自動体外式除細動器)の操作手順などを確認した。

 班長を務めるホテルグランヴィア京都の西川裕之さん(61)は元消防職員。「京都駅ではコロナが落ち着き救急事案が増えている。班員と連携して日ごろから安心安全に備えたい」と意気込んだ。

 市消防局によると、本年度の消防団員数は4208人で充足率は84.7%。2020年度には90%を超えていたが、コロナ禍で入団の呼びかけを控えた影響で21年度から減少に転じている。市消防局は「今回の救護班のように、自身の可能な範囲で活動する団員もいる。負担が重いという消防団のイメージを変え、団員の裾野を広げていきたい」としている。

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