JR東「利用減の津軽線維持には合理的理由を」

 昨年8月の大雨で被災し運休が続くJR津軽線・蟹田-三厩(青森県今別、外ケ浜町)間28.8キロの存廃を巡り、JR東日本は12日、両町の住民に対し、鉄路を廃止した上でのバス、タクシー転換や鉄路復旧など複数案の収支改善や利便性向上の効果を説明した。JR東は新たな交通体系の導入が望ましいとの意向で、利用者の減少が著しい同区間の復旧には合理的な理由が必要と強調。久保公人盛岡支社長は「鉄道を維持する場合、街がどう良くなるのか、考えを教えてほしい」と住民に呼びかけた。

 住民説明会は3回目で、2町の計4会場に約40人が参加した。

 今別町開発センターでは、JR東の担当者がバス、タクシーに転換した場合、増便が可能で運営経費も鉄道に比べて抑えられるなどのメリットを紹介。鉄路の存廃に対し、住民から賛否双方の意見が上がる中「鉄道を残したら、どう便利になり、コストが下がるのかなど、街が良くなる点について、知恵を借りたい」と述べた。

 終了後、久保支社長は取材に対し「われわれとは別の視点で、(住民側が)鉄道を利用した新たな将来像を思い描いているのであれば、(両町との)検討会議の協議に生かしたい」と発言の意図を説明した。

 同センターの説明会に出席した同町の農業田子博文さん(75)は「JRは鉄路廃止を前提に話しているようにも聞こえる」と不信感を口にし、津軽線沿線で住宅建設が進み、住民が増えたことなど、これまでの経済効果を強調した。

 一方、外ケ浜町三厩地区の会場に参加した同町の無職女性(72)は「JRが責任を持ってバスの運行経費を負担してくれるのであれば、鉄道から替えても構わない」と新たな交通体系導入に理解を示した。

© 株式会社東奥日報社