新潟県長岡市の磯田達伸市長(72)が、2期目の任期を満了するまでに1年を切った。磯田氏は2023年11月上旬の時点で、3期目への去就は明らかにしていない。就任以来の成果や市政の課題をどう捉え、2期目の仕上げを図る考えなのか。磯田氏が新潟日報社のインタビューに応じた。
* [連載<上>「看板政策」を読む](https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/310247) * [連載<中>「国との役割分担」を読む](https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/310841) * [連載<下>「わたしは市民党ですから」を読む](https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/310856)
-市長就任から7年の成果と課題をどう捉えていますか。
「全ての分野で新しい政策を多く打ち出せたと思う。ただ日本経済の停滞や新型コロナウイルスによる逆風で、成果を十分に出せる条件ではなかった。職員は頑張ってやってくれた」
「時代が変化する中で、これまでの市政では立ちゆかなくなるという危機感を持ち、まず財政の再建に取り組んだ。長岡全体を改革していこうというメッセージとして『長岡版イノベーション』を打ち出した」(長岡版イノベーションについては連載「磯田イズム ウラオモテ」<上>を参照)
-長岡版 イノベーションの進展と課題をどうみていますか。
「イノベーションのマインド、動きが起きているのは大きな成果だ。産業面の商品開発や事業展開に結びついているかという点はこれからだろう。市役所内でもAI(人工知能)などを活用した事務事業の見直しを進めている」
-教育・産業振興の複合施設「ミライエ長岡」の開業など未来への投資を重視してきました。
「アオーレ長岡やミライエ長岡という場があること自体が新しい効果。市民が夢や希望を持つ環境として人々が交わったり、新しい知識やヒントを得たりする場は意味がある。実際にどう役に立つのか、コンテンツづくりが当面の課題だ」
-人口減少対策や支所地域の振興策は図れていますか。
「長岡がいかに住みやすいか、子育てしやすいかを十分アピールできていない。就職先を選ぶ学生とのミスマッチ解消に向け、長岡の企業の魅力を高めることが大切だ」
「支所地域は特に人口減少が厳しい。交通や医療など暮らしに不都合がない環境を継続し、楽しく健康に暮らせる地域をつくりたい。これからはテレワークなどの働き方も普及していく。自然の中でのびのび暮らせる支所地域の価値は多くの人に認識されていくと思う。悲観はしていない」
-長岡市が支所の一部の課の集約を進める中で、不満の声が出ています。
「ネットワーク型の支所とすることで全体で効率化し、サービスをレベルアップさせる。職員は地域コミュニティーを下支えする。支所の機能を落とすものではない」
-選挙で「子育てしやすいまち日本一を目指す」と掲げました。現在地は。
「まだまだだ。お金をいっぱい配ったところが子育て支援の上位ではない。どんな保育が受けられるか、発達段階に課題がある子をどうケアするかが一番大事。もっと形にしていければいい」
-原発は「市民の不安が解消されない限り、再稼働すべきでない」と主張してきました。
「新潟県による三つの検証が終わる中で長岡の考え方をよりはっきり出そうと、6月にギアチェンジした。再稼働の議論の前に条件整理がいる。原発の集中立地や複合災害時の避難の実効性などを問題提起している。再稼働に関わる問題の全体性に関わっていく」
-2024年10月15日で任期満了となります。3期目についてどう考えていますか。
「考えるタイミングにない。来年度予算の編成にまず注力したい」
* [連載<上>「看板政策」を読む](https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/310247) * [連載<中>「国との役割分担」を読む](https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/310841) * [連載<下>「わたしは市民党ですから」を読む](https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/310856)