ハングルを作り広めたのは誰?名君・世宗王を描いたエモすぎる韓国時代劇『王の願い ハングルの始まり』『世宗大王 星を追う者たち』CS一挙放送

『王の願い ハングルの始まり』© 2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

韓国語は、いつ誰が作ったのか?

Kコンテンツ全盛の今、ポップカルチャーから歴史まで、より深く知るために韓国語(朝鮮語)を学んでいるという人も少なくないだろう。映画やドラマを観ていると日本語とよく似た発音の言葉もあることが分かるが、韓国語はいつ、誰が作り広めたのだろうか?

韓国語(ハングル=訓民正音)が公布されたのは、1446年のこと。それまでは日本と同じく中国から伝わった漢文が使用されていたが、庶民でも読めて発音しやすい(口伝しやすい)独自の文字を作ろう、という明確な目的を掲げたのが、朝鮮王朝の4代目の王、世宗(セジョン)だ。

とはいえ広く深く浸透するのには長い時間を要し、実は公式に使用されるようになったのは80年代に入ってからのこと。とはいえ70年代には漢字が廃止されており、韓国に行ったことがある人は街中でほとんど漢字が使用されていないこともご存知だろう。

名君・世宗の半生を描く時代映画

その国の言語を何年に誰が定めたのかはっきり記録されていて、しかも公布という形で浸透させたという例は世界的にも珍しいそうだ。それだけにエンタメのテーマとしても扱いやすいのだと思われ、朝鮮王朝史上屈指の名君とされる世宗を描いた映画・ドラマは少なくない。

というわけで、CS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:今観たい!傑作アジア映画」で放送される“世宗”映画を2作ご紹介。ソン・ガンホやチェ・ミンシクら韓国を代表する名優の熱演に胸が熱くなる、非常にエモいうえに超勉強になる文化系時代劇だ。

ソン・ガンホ×パク・ヘイルの鉄板コンビ!『王の願い ハングルの始まり』

朝鮮第4代国王・世宗の時代。朝鮮には自国語を書き表す文字がなく、上流階級層だけが特権として中国の漢字を学び使用していた。この状況をもどかしく思う世宗は、庶民でも容易に学べて書ける朝鮮独自の文字を作ることを決意。低い身分ながら何カ国もの言語に詳しい和尚シンミに協力を仰ぐ。

――言わずと知れた世界的名優ソン・ガンホと、パク・チャヌク監督作『別れる決心』(2022年)での熱演も記憶に新しいパク・ヘイルが、それぞれ世宗王とシンミ和尚を好演。ポン・ジュノ監督作『殺人の追憶』(2003年)『グエムル -漢江の怪物-』(2006年)以来の共演となる2人が並ぶだけでグッとくるものがある。

ハン・ソッキュとチェ・ミンシクが『シュリ』以来20年ぶり共演!『世宗大王 星を追う者たち』

第4代王・世宗は、奴婢の身分だったチャン・ヨンシルの優れた才能を認め、武官に任命。ヨンシルは“水時計”や“天体観測儀器”を次々に発明する。一方、「明の従属国という立場を脱し、朝鮮の自立を成し遂げたい」という夢を抱く世宗も、朝鮮独自の文字“ハングル”を創ろうとしていた。

――こちらは『シュリ』(1999年)以来20年ぶりの共演となったハン・ソッキュとチェ・ミンシクが、世宗王とヨンシルを演じる。厳しい身分制度を強調することで世宗の新進性とヨンシルの不遇を際立たせ、両者の友情のエモみも倍増。

役柄をテレコにしても成立しそうなキャスティングだが、チェ・ミンシクの額を地面にこすり付けんばかりの熱演が胸を打つし、ハン・ソッキュのやんごとなさっぷりも清々しい。「星を追う者」というサブタイトルの理由でもあるロマンチックなテーマで、ブロマンスものとしても優れている。

『王の願い ハングルの始まり』『世宗大王 星を追う者たち』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:今観たい!傑作アジア映画」で2023年11月放送

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