偶然の出会いとあまりに唐突な別れ 愛、そして映画についての四章の組曲 「マリの話」予告

2023年12月8日より劇場公開される成田結美、ピエール瀧、松田弘子出演、高野徹監督作「マリの話」の、予告編が公開された。

予告編は、ヨハン・シュトラウス1世が作曲した「ラデツキー行進曲」の軽快なテンポに乗せて、スランプ中の映画監督・杉田が、韓国料理屋の入り口で、夢にみた運命の女性を見かけるシーンから幕を開ける。「演技することに興味ありませんか?」と彼女に映画出演を誘う杉田。戸惑いながらもマリは、にくめない杉田のキャラクターに魅了されていく。やがて恋仲となった2人だったが、その関係に悩むマリは、愛猫を探す不思議な女性・フミコと出会うことで”ある決心”をする。

同時に公開されたメインビジュアルは、マリの美しい横顔が捉えられ、「スランプ中の映画監督、夢で出会った女性、逃げた猫はどこにいった? そして映画はー完成したの?」と、謎めいたコピーが添えられている。

「マリの話」は、夢と現実が入り混じる構成で描く恋愛映画。海辺の町で脚本を書く映画監督の杉田は、偶然出会ったマリという若い女性に心を奪われ、映画に出演してほしいと声をかける。情熱的でにくめない杉田のキャラクターに、戸惑いながらも恋心を抱くマリ。ふたりは映画づくりをはじめるが、突然、杉田は失踪してしまう。喪失感に苦しんでいたマリは、愛猫を探すフミコと出会い、人生を変えるような対話をする。自らを見つめ直したマリはある決心をする。

監督を務めるのは、濱口竜介監督「ハッピーアワー」「偶然と想像」の助監督を務め、ひと夏の恋愛を描いた短編映画「二十代の夏」を監督した高野徹。本作が初長編作となる。マリ役を演じたのは、フランスで俳優としてのキャリアをスタートし、フランスのリメイク版「キャメラを止めるな!」で通訳の女性を演じた成田結美。杉田役を「福田村事件」などのピエール瀧、フミコ役を松田弘子が務める。

濱口竜介監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【濱口竜介監督コメント】

ひたすら逸脱を繰り広げる映画『マリの話』が決して踏み外さない一点は「面白い」ということだ。そもそも面白い映画は極めてまれなものだけれど、この映画が更に特異なのは「何がどうして面白いのかまったくよくつかめない」ということだ。
四話構成の第一話こそ、果たしてここまで同時代の他の映画作家に似ていてよいのか……と面食らうが(それにしたって上手いと舌を巻きもする)、話が進むにつれて映画はまったく思いがけないものへと変貌していく。映画の終わる頃には、観客は高野徹という一人の映画作家の誕生に立ち会うことになる。面白い。しかし、この得体の知れなさは何だか恐ろしくもある。

【作品情報】
マリの話
2023年12月8日(金)よりシモキタ - エキマエ - シネマ「K2」にて公開 以降全国順次
配給:ドゥヴィネット
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