日本株を買うなら“海外勢”の動向チェックに欠かせない「部門別売買状況」を知ろう!

「海外投資家」「個人」「信託銀行」「事業法人」この4つのワードから連想できることはありますか?普段から株式投資をしていらっしゃる方はすぐにお分かりになるかもしれませんが、答えは「部門別売買状況」です。


4つの部門の動向がわかる

部門別売買状況とは、上記のとおり4つに分けた部門の投資行動のことで、日本株を誰が買ったり売ったりしているかを示す需給情報です。毎週第4営業日、木曜日の午後3時に前週分のデータが日本取引所グループ(JPX)から公表されます(祝日など休業日がある場合は後ろ倒し) 。あくまでもデータは前週のものになりますので、その点だけには注意が必要です。この情報を見れば、海外投資家、個人、信託銀行、金融機関による株式の売買代金と売買高がわかります。

市場関係者は投資家(投資主体)ごとの売りと買いの差し引きの金額を追っています。売った金額が買った金額を上回れば「売り越し」、逆の場合は「買い越し」となります。また売買の合計金額の増減により取引の活性化も分かります。ここで4つの部門について特徴と傾向を見ていきます。

日本市場に強い影響を持つ海外勢

2022年の東証プライム市場の年間売買代金のうち約60%が「海外投資家」による商いです。ちなみに先物は約82%が海外勢です。株式投資をしていない方や株取り引きを始めて間もない方には、この海外勢の存在をまったくご存知ない方もいらっしゃいます。「海外勢の売りが要因で(日本株が)下落した」などとテレビやラジオで時々耳にはするもののサラッと聞き流し、「どういう意味なのか深く考えていなかった」とおっしゃる方もいらっしゃいます。海外勢の日本市場での存在感は大きく、海外勢ありきで相場が形成されている事実を知っておくことは日本株を知る上でとても重要です。

この事を知っておくと投資をする上で有利になることがあります。それは、あるニュースが報じられた時、「海外からはどのように捉えられているか」という視点を持てるためです。国内ではさほど重く報じられていないニュースでも、海外からの判断はそうではない場合があります。内容によっては嫌気され、株価に大きく影響する場合があります。海外からはどう見られるかを、常に意識しておくことが必要です。

海外勢の動向は投資に携わる多数の存在から常に注目されています。基本的には、海外投資家が買い越しているときは上昇傾向、海外投資家が売り越しているときは下落傾向と判断されます。 また、買い越しが続いているところから売りに転じたときや、売り越しが続いているところから買いに転じたときは相場の転換ポイントとなりやすいです。

個人投資家の年間売買代金は18%

次に「個人」ですが、個人的に相場に携わっている方、つまり個人投資家を意味します。大きく2つに分けるとすれば、普段会社勤めなどをしながら株の取引をしている兼業投資家の方、株の取引を収入のメインにしている専業投資家の方がいらっしゃいます。こちらは2022年東証プライム市場の年間売買代金のうち約18%という規模です。ちなみに先物においては10%です。

「信託銀行」は主に取引を受託している年金基金の売買が見てとれます。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などは保有する資産の割合を定めているので、株価が下落して保有資産の占める割合が下がると調整のために買いが入ります。

「事業法人」で主に企業の自社株買いの状況がわかる

「事業法人」は証券会社以外の株式会社などを総称していて、主に企業の自社株買いの状況がわかります。今年から東京証券取引所は上場企業に対しPBR(株価純資産倍率)改善策の開示を要請していて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた具体的な対応を求めています。企業の取り組みに対して来年から一覧表を公表し、さらなる促進を図るとしていて、株主還元や資本効率改善のため自社株買いを積極的に進める傾向があります。このような背景があり事業法人は現在のところ、日本株の買い手として存在している部分も持ち合わせています。

海外投資家と個人投資家は異なる動きをすることが多い

全体相場が上昇傾向の時は、海外投資家が順張り(買い)で、個人投資家等は利益確定売りをしていることが多いです。一方、下落相場の時は海外投資家が売り越していて、個人投資家等は買い向かっていること(逆張り)が多いです。

部門別売買状況はJPXのHPから見ることができます。また、データを見やすくして掲載しているサイトもありますのでぜひ毎週チェックすることをお勧めします。

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