「伊藤匠七段は数年前の藤井聡太八冠に似ている」 杉本昌隆師匠が見た“竜王戦” ペース配分が今後の課題

将棋の藤井聡太八冠。この竜王戦は、八冠を独占してから初の防衛となりましたが、4連勝強かったですね。改めて数字で振り返ると、本当にすごい記録なんですよね。

「竜王」というのは、将棋界で最高賞金4400万円です。こちらを3連覇達成されました。

藤井八冠は、タイトル戦初登場から負けなしで、ここまで“連続19期”達成なんですね。この連続記録というのは、大山康晴十五世名人の歴代1位記録に並んでいるということで、ただ藤井八冠ご本人は「そのことは知りませんでした」ということだったんです。

記録にあまり頓着のない藤井八冠らしい一言ですね。今回の竜王戦、同学年対決ということでも注目されました。ただ、挑戦者の伊藤七段も、強いことには間違いないですもんね。

子供の頃の話ですが、藤井八冠に勝って、“藤井八冠を号泣させた男”というエピソードもあります。21歳の若さでこれだけ強い人は、なかなかいないんです。

2021年度の勝率は1位でした。その勝率は、8割1分8厘なんですね。プロの世界で6割を超えたら強い。7割を超えたらかなり強い。8割超えたらとてもとても強いというふうに言われているわけですよ。藤井八冠のこれまでの5年連続勝率1位を阻止したのが、伊藤七段なんですよね。

今回の竜王戦直前までの対局を見てみますと、25勝5敗で8割3分3厘だったんです。今回、藤井さんに4連敗しましたけども、その間に他の棋士とも戦っていますが、それは全勝しているんです。

そこで、師匠の杉本昌隆八段に今回の勝負をどう見たのか聞いてみました。

師匠の杉本八段が見た“竜王戦” 「数年前の藤井八冠に似ている」

師匠は、藤井八冠が「8冠を制覇した後もとにかく強さは緩んでいないと。充実ぶりが際立った対局だった」と言っていました。つまり、藤井八冠に隙はなかったということですね。

そして、伊藤七段がなぜな負けたのかということなんですが、「タイトル戦に不慣れだったんではないか」と。初めてのタイトル戦でしたもんね。「序盤中盤で時間を使いすぎてしまった」ということです。なかなかペース配分がうまくいかなかったということなんでしょうけども、これは数年前の藤井八冠に似ているということなんです。

どういうことかといいますと、時間のペース配分さえ慣れてきたら、藤井八冠のように、本来の強さをタイトル戦でも出すことができるということなんですね。そういう意味ではこの2人はこれから、将棋界を引っ張っていってくれると思いますね。

さて、年内のタイトル戦はこれで終わりということで、来年も期待がかかりますね。ここで、タイトル戦のスケジュールを見てみましょう。

年明けすぐの1月からは、王将戦が行われます。そして、藤井八冠に挑む相手を決めるリーグ戦が、現在行われているんですね。

藤井八冠としては、前人未到のタイトル戦20連覇に挑戦していくということになります。今後の活躍にも目が離せません。

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