「悔しい」青森県内リンゴ盗難、過去5年で最多 すでに9件、37万4500円

リンゴがもぎ取られた枝先を指さす船水さん。「収穫間近だったのに」と落胆の様子を隠さない=13日午後、弘前市大和沢

 青森県産リンゴの主力ふじの収穫が終盤を迎える中、県内のリンゴ園で盗難が相次いでいる。今年県警が受理した被害届は13日時点で津軽地方を中心に計9件。収穫期が終わらないうちに過去5年間の最多を更新した。県警は不審車両を見かけたら通報を-と呼びかけている。

 13日、サンふじの収穫が行われている弘前市大和沢のリンゴ園地。農道のそばにある木の枝だけ緑の葉が目立っていた。残っているのは赤みの少ない実ばかり。「よく色づいた上味のリンゴばかり取られた。収穫間近だったのに…」。農業船水美穂さん(49)は顔を曇らせた。

 昨年10月に有袋ふじ、今年10月にひろさきふじを盗まれた。しかし収穫作業が立て込んでいたので「被害額は少ないし」と自分に言い聞かせ、警察に被害を届けなかったという。

 今回ばかりは我慢の限界。12日に弘前署に被害届を出した。盗まれたのは約300個。時価2万1千円相当に上る。園地には真新しい車のタイヤの跡もあった。同署は盗みの疑いで捜査を始めた。

 リンゴの盗難を防ぐため園地の周りには回転ライトを設置していたが、犯行を防げなかった。船水さんは「これ以上どうすればいいのか。今年は猛暑の影響もあって着色に影響した。高値になりそうなリンゴばかり盗まれ悔しい。もう来ないでほしい」と話した。

 県警によると、今年の被害届の受理件数9件は過去5年で最多だった2021年の7件を上回った。被害総額は37万4500円で、こちらも最多だった昨年の28万4千円を超えた。被害は弘前市や五所川原市などで相次いでいる。

 弘前署の津島敏副署長は「夜間巡回を強化しているがそれだけでは被害を防ぐことは難しい。不審な車を見かけたら、すぐに警察に通報してほしい」と呼びかけている。

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