トラック運転手の残業時間や拘束時間の規制強化による「2024年問題」で青森県産業の競争力が低下しかねないとして、宮下宗一郎知事は13日、国に対し、拘束時間の上限を緩和する特例措置を要請した。
厚生労働省では田中誠二審議官に要望書を提出した。非公開の要望活動後、取材に応じた宮下知事によると、田中審議官は青森県の実情に理解を示し「制度の中では例外を設けている。青森県の事情も含めて、制度を良いものに仕上げ、丁寧に施行していきたい」と回答したという。
24年4月から始まる物流業界の働き方改革では、残業時間の上限が年間960時間に、1日の拘束時間が現行より1時間短い最大15時間となる。
県は、残業時間の年間上限順守など運転手の労働改善を前提として、拘束時間を15時間に制限した場合、大都市との距離がある青森県からこれまでのように荷物を運ぶことができず、輸送コスト上昇や生産者・製造業者の負担増を招くとし、地理特性を踏まえた特例措置が必要だと訴えている。
要望はほかに、運送業界の人材確保、競争力維持や物流効率化への支援など。
宮下知事は取材に「ドライバーの働き方が改善され、事業者が持続可能な形で事業を継続できるような環境が最も重要だ。あらゆる生産品が適正な値段で消費地に届くことが、本県産業の競争力向上につながる」と述べた。
また、官邸で行われた政府主催の全国知事会議では、斉藤鉄夫国土交通相に特例措置を要請した。斉藤国交相は、政府一丸となって24年問題に対応していると答えたが、拘束時間の緩和には言及しなかった。