複合災害に備え県防災総合訓練 能登町で1万6000人

倒壊した建物で救助訓練に取り組む消防隊員=能登町宇出津新港2丁目

  ●豪雨、地震、津波、火災

 石川県防災総合訓練は12日、能登町で行われ、住民を含む計103機関の約1万6千人が避難や救助に取り組んだ。奥能登地震や大雨被害を受け、豪雨、地震、津波、火災の複合災害を想定し、倒れた建物や埋没した車両からの救出、海上からの物資運搬など多様な訓練を繰り広げ、万一に備えた。

 訓練は線状降水帯の形成で激しい雨が降り続く中、能登町で震度6強の地震が発生。津波が沿岸に到達し、一部地域で火災が起きたとの想定で実施した。一部は北陸東海7県の消防機関による「緊急消防援助隊中部ブロック合同訓練」と合同で行った。

 宇出津新港では倒壊したビルや建物、土砂災害に巻き込まれた民家や車両からの救出をはじめ、治療の優先順位を決めるトリアージ、検視と身元確認、避難施設への仮送電、車載型電話基地局の設置などの各訓練に取り組んだ。

 道路寸断を想定した訓練では陸上自衛隊が自走架柱橋(かちゅうきょう)で悪路に橋を架け、国内で2台のみ配備されている大型水陸両用車「レッドサラマンダー」(愛知県岡崎市消防本部)が走行した。

 訓練には県が資格取得を支援している学生の防災士10人が初めて参加した。救援物資の海上輸送訓練では国土交通省の港湾業務艇に乗り込み、停泊中の海上自衛隊の船から受け取った物資を能登高まで運んだ。炊き出しにも加わった。

 訓練本部長の馳浩知事が会場を視察した。

  ●宝達志水から物資

 訓練には宝達志水町も参加し、職員15人を派遣。組み立てトイレや間仕切り、段ボールベッドなどの物資を届け、避難所運営を支援した。

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