不審者、劇薬対応を確認 走行中の新幹線で青森県内初訓練

走行中の東北新幹線内で、不審者役の男(中央)が刃物を振り回し、ペットボトルに入った液体を車内にまく想定で行った防犯訓練=13日

 青森県警とJR東日本は13日、走行中の東北新幹線の車内で、刃物や劇薬とみられる液体を持った不審者への対応を想定した防犯訓練を行った。近年、列車内での殺傷事件が相次いでいるほか、10月に東北新幹線で、乗客の手荷物から薬品が漏れて複数のけが人が出たトラブルを踏まえ不審者や不審物への対応、乗客の避難誘導を確認した。県内で同様の訓練を行うのは初めて。

 訓練には約110人が参加。七戸十和田-新青森間を走行中、隣に座る乗客と口論になった不審者役の男が激高し、刃物を振り回した後、ペットボトルに入った液体を車内にまき、煙が発生する-との想定。

 乗務員らはグループ通話で情報共有しながら、乗客を別の車両に誘導。乗り合わせた警察官や警備員が、盾や警棒を使って男の対応に当たった。新青森駅到着後には、ホームで待ち構えていた警察官が男を確保し、県警機動隊が不審物を適切に処理した。

 県警鉄道警察隊の黒滝和代隊長は「狭い車内で、不審者への対峙(たいじ)方法や乗客の避難誘導、不審物への対応を細かく確認できた」、JR東日本統括本部新幹線企画戦略部の高橋純世ユニットリーダーは「今回出た課題を見直し、より実践に近い形で訓練を重ねて対応力を高めていきたい」と語った。

© 株式会社東奥日報社