テーマは「Y2K」?ゼロ年代に世界を席巻した“単館系”大ヒット作『アメリ』&『ゴーストワールド』がスクリーンにカムバック!

『アメリ デジタルリマスター版』© 2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves『ゴーストワールド』© 2001 Orion Pictures Distribution Corporation. All Rights Reserved.

今年もまだまだリバイバル上映がアツい!

ここ数年、リバイバル上映が非常に盛り上がっている。当初はコロナ禍における非常事態措置のように捉えられていたフシもあるが、4K~デジタルリマスター化きっかけだったり、名監督の新作公開、人気シリーズの最新作公開のタイミングに合わせた過去作再上映など、折あるごとに新旧の名作をスクリーンで鑑賞できる機会が増えている。

今年も夏から秋にかけて、『ギルバート・グレイプ』(1993年)や『パルプ・フィクション』(1994年)、『レオン/完全版』(1994年)、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)などが期間限定で再上映された。デジタル化以前の名作を再び大きなスクリーンで鑑賞できるとあって、世代を問わず多くの映画ファンが劇場に足を運んだという。

そして11月、2001年に日本を含む世界中を席巻したミニシアター系の傑作が2つ、リバイバル上映される。“不思議ちゃん”という言葉を浸透させた(?)エキセントリック系ロマンス『アメリ』と、サブカル系こじらせ女子(??)の青春を描く『ゴーストワールド』だ。

おきゃんなオドレイ・トトゥの魅力は不滅!社会現象ムービー『アメリ』

フランスでは公開直後から「観る人みんなが幸せな気持ちになれる」とクチコミが広がり、当時のシラク大統領やジョスパン首相も観賞した『アメリ』。監督のジャン=ピエール・ジュネは『デリカテッセン』(1991年)や『エイリアン4』(1997年)などアーティスティックでダークな世界を得意としていたが、「人々を幸せにする映画を撮りたい」と方向転換し、自分が好きなものと幸せの種を埋め込んだ映画を撮ることに。それがパリの下町モンマルトルを舞台にしたロマンチックコメディ『アメリ』だ。

世界中でロングラン・ヒットを記録し、アカデミー賞で5部門にノミネートされる快挙を成し遂げた『アメリ』の日本公開は2001年11月17日。ジュネ監督の最新作に期待するファンだけでなく、女性ファッション誌やカルチャー誌が大々的に誌面で紹介したことで、公開前から興奮は高まる一方だった。

そして公開当日、今はなきミニシアター「渋谷シネマライズ」1館限定での公開ということもあり、『アメリ』を待ち焦がれていた人々が朝からスペイン坂の上から井の頭通りまで並ぶ事態に。そんな騒ぎを聞きつけたテレビのワイドショーや男性週刊誌も『アメリ』現象を追いかけ、まさに社会現象と化していったのだった。

『アメリ デジタルリマスター版』は2023年11月17日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国公開

共感性羞恥を刺激しまくるオルタナ青春映画の金字塔『ゴーストワールド』

当時としては新鮮だった“低体温系”青春映画として大ヒットを記録した『ゴーストワールド』は、オルタナコミックの帝王ことロバート・クラムを追ったドキュメンタリー『クラム』(1994年)などで知られるテリー・ツワイゴフによる初の長編フィクション。原作は、アメリカで“ティーンエイジャーのバイブル”として高い人気を誇ったダニエル・クロウズの同名グラフィック・ノベルだ。

主演はアカデミー賞5部門制覇の『アメリカン・ビューティー』(1999年)が絶賛されたソーラ・バーチ(当時17歳)と、いまやハリウッド随一のスター俳優となったスカーレット・ヨハンソン(当時15歳)。ほかに『マイ・フレンド・フォーエバー』(1995年)や『ゴールデンボーイ』(1998年)のブラッド・レンフロ(2008年に急逝)、ご存知スティーヴ・ブシェミが、それぞれ名演を披露してくれる(半裸ヌンチャクバカを熱演したデイヴ・シェリダンも秀逸だった)。

原作者クロウズがツワイゴフ監督と共同で脚本を執筆し、アカデミー脚色賞をはじめ多くの賞にノミネートされた本作。近年ではドラマシリーズ「ユーフォリア/EUPHORIA」(2019年~)などの作品に影響を与えたことでも再評価が進み、若い世代にも愛される作品となっている。そして2023年、プレミア化していた原作コミックの日本版が再発され、意外にも廃盤となっていたDVDの再発&初ブルーレイ化と、まさに“『ゴーストワールド』イヤー”というべき年となった。

『ゴーストワールド』は2023年11月23日(木・祝)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次公開

オドレイ・トトゥ出演『ダ・ヴィンチ・コード』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:24時間 秋のミステリーサスペンス」で2023年11月放送

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