オデッサの象徴、大聖堂を修復へ 世界遺産街区、資材不足し困難も

損壊したウクライナ・オデッサの大聖堂内部を案内するポゴレロフスキー神父=10月(共同)

 ユネスコ世界遺産に登録されたウクライナ南部オデッサの歴史地区で、街のシンボル的存在だったキリスト教東方正教会の大聖堂がロシア軍の攻撃で破壊されてから3カ月が過ぎた。イタリアの支援も受けて修復に向けた動きが具体化してきたが、戦時下で資材は不足し、作業を担える人材も限られ道は険しい。

 「ミサイルは地下まで貫通していた。火災も起き、内部はがれきが散乱した状態だった」。ポゴレロフスキー神父(31)が当時の状況を説明した。現在も祭壇付近に大きな穴が開き、柱の一部も傾いた状態。現在は天井の補修などの応急措置を行った上で、教会の活動は地下に場所を移した。

 大聖堂は18世紀末以来の歴史があり、近年に再建された。ポゴレロフスキー神父は「地下シェルターには避難者もいた。どうして攻撃したのか理解できない」と憤った。

 イタリア政府は10月、修復に向けてウクライナ側との協定に署名したと発表した。オデッサにはイタリア人が設計した建築物も多く、歴史的なつながりが深いことが後押しとなっている。

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