「下流に人家があり 危険な状態を放置できない」“違法盛り土”撤去へ 11月下旬から行政代執行 静岡市杉尾・日向地区 静岡県内3例目

静岡市の山中に無許可で造成された盛り土について、静岡県は11月下旬から行政代執行に着手することを明らかにしました。盛り土についての行政代執行は、熱海土石流災害以降、県内で3例目です。

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静岡市葵区の山間部にある杉尾・日向地区の盛り土をめぐっては、県が無許可で造成した市内の残土処分業者に原状回復命令を出しましたが、期限までに工事の着手が行われませんでした。

その後、県は杉尾地区に関しての最終通知である「戒告書」を出しましたが、残土処分業者が提出した計画書は内容が不十分で不承認となり、行政代執行で盛り土を撤去する方針を固めました。

県は11月14日、関係部局や県警と情報共有を行い、11月下旬から杉尾地区の行政代執行に着手することを明らかにしました。

<静岡県交通基盤部 杉本文和参事>
「今月末には現地で行政代執行を行う旨を宣言し、測量、仮設道路の設置などの準備等に着手していきます」

県は、杉尾地区の東側の盛り土について、地盤が急勾配で全体的に不安定なことから全量を撤去し、2024年1月から中部地区にある民間の残土処分場へ排出する予定です。

一方、西側の盛り土は、土壌汚染の基準を超える鉛が確認されたため、調査が必要で撤去の詳細は決まっていません。

また、杉尾地区よりも巨大で熱海で土石流起きた現場の5倍の量の盛り土である日向地区については、準備が整い次第、代執行の手続きに入ります。

<静岡県交通基盤部 杉本文和参事>
「下流に人家があり、危険な状態を放置できないということ。できる限り早く土砂の処理をして安全な状況にしたいと思います」

盛り土についての行政代執行は、熱海土石流災害以降、静岡県内で3例目。県は、2025年度までに土砂の撤去を完了させたい考えです。

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