静岡県の川勝平太知事がJR東海を“痛烈批判”「遅れを擦り付けるのは遺憾」”田代ダム案”めぐり「責任を痛感して」

リニア新幹線の工事に伴い、静岡県外に流出した水を大井川に戻す「田代ダム案」実現に向け、JR東海と東京電力の協議が、提案から約1年半かかって大筋でまとまったことについて、静岡県の川勝平太知事は「準備不足で責任を痛感してほしい」とJR東海を厳しく批判しました。

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<静岡県 川勝平太知事>
「いかに準備不足であったか。責任を痛感していただきたい」

11月9日、川勝知事が批判したのは、JR東海の「田代ダム案」をめぐる動きです。

「田代ダム案」は、リニア工事によって大井川の水が県外に流出する分を大井川上流部にある田代ダムの取水を抑え、相殺する案です。

JR東海は2023年6月から、ダムを管理する東京電力と具体的な取水の抑制方法について協議を重ね、10月、大筋でまとまったと発表しました。

具体的な方法は、取水ダムに制水ゲートを立ち上げることで、田代ダムに流れる水量を抑え、県外に流れた水量を大井川に戻す仕組みです。

川勝知事は、JR東海の提案から1年半近くかかったことについて…。

<静岡県 川勝平太知事>
「この間の遅れは、JR東海ご自身にあるわけですから、それをどこかの県に擦り付けるような発言を一貫してなさってこられておりますけれども、我々は誠に遺憾であると思っております」

大井川流域の自治体が評価する一方、川勝知事は水質の変化などを指摘し「生態系に影響がないとは言えない」と懸念を示しました。

その生態系への影響について話し合う国の有識者会議が7日の会議で報告書をまとめることで合意したことについては「十分な議論がされないまま報告書がまとまるのは非常に残念だ」と述べました。

一方、リニア沿線の知事は、静岡工区着工の目途が立たない中、岸田総理に対し、開業時期の見通しをはっきりさせるよう求める要望書を6日に提出しました。

<岸田文雄総理>
「全体のプロジェクトが進むように関係自治体等にも働きかけていただく環境づくりという点でお力添えをいただければと思います」

開業時期が見えず、沿線の知事はしびれを切らしますが、川勝知事のゴーサインが出る見通しはまだありません。

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