「せっかく分別したものが混ざってしまう」浸水した家財道具が山に…“大雨災害ごみ”どう処理?【わたしの防災】

2022年9月の台風15号による大雨災害。静岡市清水区では、水に浸かった家財道具などの災害ごみが山のように積まれ、課題となりました。スムーズなごみ処理のためにわたしたちに何ができるのか、専門家が分析しています。

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静岡市清水区を流れる巴川沿いに近い、押切地区です。普段は地域の人たちの憩いの場になっている公園が2022年の台風災害では、ごみの山になってしまいました。

<当時のリポート>
「押切地区の公園に来ていますが、私の背丈を超える高さまでごみが積まれています」

2022年9月の台風15号の被害を受け、静岡市内では、災害ごみの緊急仮置場が公園など37か所に開設されました。しかし、ほとんどの場所で分別がうまくいかず、自衛隊などの力を借りないと撤去できないほど、大量のごみが積まれてしまいました。

2023年10月、開かれた災害情報の研究者による発表会で、災害ごみをどうすれば上手く処理できるのか提案がありました。

<清水区を調査した高田昭彦さん>
「水害による片付けごみの分別化を基本ルール化して、発災後すぐに行政に広報してほしい。市民には訓練などで水害ハザードの高い地域で水害時のごみはこうなると平時から啓発活動をしたい」

大切なのは、「ごみを分別して集めること」だといいます。しかし、清水区の被害では、それがうまくいきませんでした。

<清水区を調査した高田昭彦さん>
Q分別しようとしたけれどやっぱりできなかったのは何が原因ですか?
「これは一般論として、分別は市民生活に根付いているのでできるんですよ。ただ、せっかく分別したものが混ざってしまう」

Q.管理は誰がやるべきなのか?
「今回の清水では、『住民の自治会でやってください』ということになり、さらに24時間なので、夜に持ち込まれたり、結構な混乱があった」

現場では、何が起きていたのか。静岡市清水区出身で災害廃棄物処理に詳しい大正大学の岡山朋子教授は、受け入れの難しさを指摘します。

<大正大学 岡山朋子教授>
「時には、ごみを持ち込む人が必ずしも被災者ではない。『ここの人ではないですよね』と言うと怒鳴られることもあって、怖かったと言っていた住民もいた」

地域にごみの仮置場ができたという報道やSNSなどの情報が拡散し、災害とは関係のないごみが持ち込まれたり、業者がトラックで持ち込んだりすることもあったといいます。

<大正大学 岡山朋子教授>
「これが押切南ふれあい公園、フェンスが見える。こちらが道路。フェンス際の所に外側にもマットや畳、上の方にもいろんな袋に入った可燃物、不燃物の上に大きなごみが積み上げられている状態で混合廃棄物の山になっている」

ルールを守らない人たちのごみが混ざったことで、分別がうまくいかなかったのです。岡山教授は、ごみが混ざって山にならないように工夫して集め処理することが大切だ話します。

<大正大学 岡山朋子教授>
「これが地域の衛生環境を非常に悪くしていることもあったし、いつまでも滞留して、撤去が難しくなってしまい、時間が取られてしまうと、その分だけ地域の復旧、復興が遅れる。災害ごみを速やかに片付けることはあらゆる水害廃棄物処理では極めて重要で目指さなければいけないことだと思う」

静岡市では、2022年の災害を受けてごみの出し方のルールを見直しました。災害の規模や被災状況に応じて、
▼通常の可燃ごみに出す
▼戸別収集をする
▼公園などの臨時集積所を開く
▼大きな仮置き場を開設する
といった方法をその都度、案内する方針です。

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