沖縄の飲酒女性の42%が酒量過多 生活習慣病に高リスク 5年前から急増 全国より大幅に高く

飲酒をする人のうち生活習慣病のリスクを高める量を飲んでいる割合

 沖縄県内で飲酒する女性のうち、生活習慣病のリスクを高める量を飲んでいる人の割合が急増したことが5年に1度の県民健康・栄養調査で明らかになった。2021年は42.0%で、前回の16年に比べて9.7ポイント増えた。県は目標値を15.2%と設定し、18年からアルコール健康障害対策を展開してきたが、大幅に後退した。

 女性に高リスクの飲み方が広がっている傾向は全国的に見られるが、県内は全国の30.6%(19年)を大きく上回る。背景には、女性の社会進出が進んで飲酒やストレスを感じる機会が増えたことや、コロナ禍の影響が指摘されている。

 年代別だと特に30代女性に高リスクの飲み方が広がっており、飲酒する人の60%に上る。次いで高い50代女性は54.2%で、16年調査に比べて倍増した。

 男性は16年から横ばいの27.7%。ただ全国の24.0%より高く、県の目標値(13.3%)にも程遠い。

■アルコール性肝疾患の死亡率は全国の2倍超

 沖縄は、アルコール性肝疾患による人口10万人当たりの死亡率が全国最悪。21年は16年に比べて悪化し、女性は2.6人から3.4人、男性も13.7人から20.6人に増えた。男女ともに全国の2倍超で、過度な飲酒が命に関わる深刻な事態となっている。

 県内保健所などへのアルコール関連相談件数は16年の1282件から右肩上がりで増え、18年に2097件、20年には2936件と3千件台に迫った。同年以降は、コロナ禍で保健所の業務が逼迫(ひっぱく)して受け入れ態勢が整わず、21年は1644件に激減したが、飲酒問題に悩む人は増えていると見られる。

 県は3月、第2期アルコール健康障害対策推進計画を公表。18年から5年間の第1期計画で、飲酒のリスクを巡る動画配信や節酒アプリなどの施策を講じた。だが「リスクを高める量を飲む人の割合が男女とも目標達成できず、女性で顕著に悪化した」とし、特に女性への取り組みを強化する必要性を挙げている。(デジタル編集部・篠原知恵)

■女性は男性の半分の酒量で高リスクに

 生活習慣病のリスクを高める飲酒量は1日の純アルコール摂取量で男性は40グラム、女性はその半分の20グラム以上と定義される。純アルコールはビール500ミリリットル1缶、日本酒1合で各20グラムに相当する。

 女性は体質的に男性と比べて血中のアルコール濃度が高くなりやすく、早期に肝硬変や依存症になるなど、飲酒のリスクが高いといわれる。

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