大分県内の野菜高値に一服感 供給回復に産地リレー効果【大分県】

スーパーの青果売り場で野菜を手に取る買い物客=9日、大分市金池南

 大分県内で高値が続いていた定番野菜の価格が落ち着きつつある。猛暑による全国的な不作で9~10月ごろは平年の倍近くに跳ね上がったものの、今月上旬にはおおむね1割高までに下がった。背景には時季や気候に応じて全国で供給地が切り替わる「産地リレー」があり、東日本から九州に出荷シーズンが移った品目は市場に出回る量が戻った。一方で、特定の地域に生産量が集中する野菜は高止まりが続きそうだ。

 「一時期に比べれば値下がりした」。9日、大分市内のスーパー「マルミヤストア金池南店」を訪れた同市六坊北町の無職佐藤美福(よしとみ)さん(82)は、少しほっとしたような表情で語った。

 14日の店頭では大分県産のキャベツが1玉213円、佐賀県産のキュウリが1本85円で販売されていた。例年の同じ時期よりは1割ほど高いものの、1.5~2倍の値段だった9、10月からは安くなった。

 卸売業・丸果大分大同青果(大分市豊海)の岩尾嘉臣(よしおみ)野菜部長(61)は「ようやくリレーの効果が出始めた」と説明する。

 同社が取り扱うキャベツ、ダイコン、レタス、ハクサイは東日本産から大分などの九州産に置き換わった。

 キャベツの場合、夏場は涼しい長野や群馬からの出荷が大部分を占める。今年は記録的な暑さと小雨で収量が低下して品薄になった。11月からは大分、宮崎、熊本各県の産地が取って代わり、供給量が回復している。

 農林水産省も今月後半には多くの品目で平年並みの価格に下がる見通しを示している。

 ただ、生産量が特定の地域に集中している野菜はリレーが難しい。冬場に需要が増すジャガイモやタマネギ、カボチャは多くを北海道で生産している。酷暑が生育に影響しており、値上がりしたままだ。

 マルミヤストア金池南店でもタマネギは1玉84円で普段の1.5倍、カボチャは100グラム当たり51円で2倍近い値になっている。

 福島好正店長(45)は「残念ながら今のところ価格が下がる要素はない。野菜をカットして小分けに販売するなど、値段を抑える工夫をしている」と話した。

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