クマ厳戒の中、狩猟解禁加賀では伝統の「坂網猟」

坂網を構え、マガモを待つ猟師=加賀市片野町

  ●加賀では「坂網猟」

 カモなどの狩猟が15日、石川県内で一斉に解禁された。今年はクマによる人身被害が3年ぶりに発生し、捕獲上限が2年連続で最大の250頭に引き上げられており、初撃ちを心待ちにしたハンターは警戒しながら山林で銃を構えた。加賀市片野町のラムサール条約登録湿地「片野鴨池」では、県有形民俗文化財の伝統猟法「坂網猟(さかあみりょう)」も始まり、猟師18人がマガモをめがけて坂網を投じた。

 坂網猟は、長さ4メートルの逆三角形の網を用いる猟法で、大聖寺藩が藩士の鍛錬として推奨した。大聖寺捕(ほ)鴨(こう)猟区協同組合の猟師が夕暮れ時に身を潜め、マガモが飛び立つ瞬間に合わせ坂網を投げ上げた。同組合の山下範雄理事長(74)は「伝統猟法を次世代に受け継いでいきたい」と話した。

 金沢市内では、県猟友会金沢支部の東川伸二副支部長(66)らがクマやイノシシを狙った。東川副支部長は「痕跡を探し、獲物を狙っていく」と意気込んだ。

 県内では10月、金沢市と小松市で男性がクマに襲われて負傷している。ツキノワグマ出没警戒情報を受け、県は捕獲上限を180頭から250頭に引き上げた。捕獲数は10月末時点で、前年同期比25頭増の56頭となっている。

 狩猟期間は来年2月15日まで。鳥獣類45種が対象で、イノシシとニホンジカは2月末まで銃猟、3月末までわな猟ができる。

  ●県内3地点今季最低

 15日の県内は上空の寒気や低気圧の影響を受け、雨や曇りとなり、最低気温は珠洲4.2度など3地点で今季最低だった。最高気温は金沢17.3度、輪島15.9度と11月上旬から平年並みとなった。

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