商店街カンパで再出発 西金沢、延焼で休業菓子店

火災で焼けた店舗を修繕したノルマン。中村さん(右)と一貴さんが半年ぶりに営業を再開する=金沢市米泉町7丁目

  ●「ノルマン」同じ場所で

 隣接店舗の火災による延焼で5月から休業を余儀なくされていた金沢の洋菓子店が半年ぶりに再出発する。米泉町7丁目にある「ノルマン」で、店主の中村誠一さん(60)は移転や閉店も頭をよぎったというが、半世紀以上店を構えた西金沢の商店街仲間や常連客らが店舗の再建費用をカンパ。23日に同じ場所で営業を再開する。火災で犠牲となった2匹の愛猫をしのんでモチーフにした焼き菓子も用意し「来てくれた人が笑顔になる店にしたい」と意気込みを新たにしている。

  ●23日から営業

 火災は5月6日、隣接するカメラ店兼住宅から出火、ノルマンは1階の店舗の壁を焼き、調理器具が壊れた。2階の住居部分も天井がはがれ落ちた。中村さんは無事で、80代の母も救急搬送されたが命に別条はなかった。

 一夜で店も家もなくした中村さん。癒やしだった猫はともに鎮火後に室内で動かなくなっていた。引き取って面倒を見てきた保護猫親子の「クッキー」「プリン」を失い、落胆したという。

 ノルマンは1971(昭和46)年に創業。プリンクレープやフロマージュブランなど多彩な洋菓子を取り扱い、併設する喫茶店のケーキバイキングなど付近住民を中心に人気を集めた。

 中村さんは西金プリンスロード商店会の会長を務めており、店の再建を支えようと加盟する20以上の店舗が募金活動に参加。長年通う客からの励ましもあり、50万円以上が集まり、修繕して同じ場所でのオープンへこぎつけた。

  ●犠牲の愛猫マドレーヌに

 再出発に際し、新たに商品に加えたのが、愛猫への追悼の思いを込めた焼き菓子マドレーヌ。2匹の模様をあしらい「にゃどれーぬ」と名付けた。

 装いが新たになった店は3年前から手伝う長男一貴さん(31)のアイデアも取り入れながら、住民や新規客にも愛される場所を目指す。

 18、19日にはプレオープンとして、定番のショートケーキやチョコレートケーキなどを並べる予定で、中村さんは「還暦での再出発は大変だが、やっぱり西金沢で挑戦したかった。みんなに感謝したい」と話した。

飼っていた愛猫をモチーフにした新商品のマドレーヌ。左がクッキー、右がプリンをイメージしている

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