観光客数1・3倍に 30年度目標 年度内に最終案「通年観光計画」示す 上越市が中間まとめ

通年観光計画の対象エリアとコンセプト展開図(上越市の資料から)

上越市は15日、中川幹太市長が推進する「通年観光」について、市議会の特別委員会に対し、計画の中間まとめを示した。高田、直江津、春日山の3地区で集中的に取り組みを進める。2030年度までに3地区の月別観光客を(高田172万人、直江津116万人、春日山51万人)を19年度比で1・3倍に引き上げる方針。

◇高田・直江津・春日山 誇れる暮らしと心意気

本年度内の策定を目指す。市文化観光部は、計画に記した事業を実行した場合の総事業費は50億円程度と試算している。

計画のコンセプトは「越後の都 誇れる上越の3つの暮らしと心意気」。高田は花が咲く景観と雁木、直江津は日本海、春日山は上杉謙信と春日山城跡をテーマにする。13区などは「自然豊かな周辺地域」と位置付け、3地区からの波及効果を狙う。

春日山では、現在車両が進入できる市埋蔵文化財センターから春日山神社の参道周辺を一般車両進入禁止とし「気軽に立ち入ることができない〝神聖なエリア〟」としてブランディングする計画。城跡は国の史跡に指定されているため、整備に関しては文化庁との協議、現在観光庁が行ういわゆる「レガシー形成事業」の調査結果を踏まえ、進める。

直江津は船見公園や直江津屋台会館の利活用に関する社会実験を行う。えちごトキめき鉄道が手がける直江津D51レールパークを充実させる。観光客が移動しやすいよう、レンタルサイクルの実証実験を行い、最適な2次交通を検討する。

高田は、高田城本丸正面入り口にあった「枡形(ますがた)門」の復元的整備の可能性を探る。大町通りで民間による、雁木町家の空き家を活用した店舗・オフィス・宿泊施設などの物件開発を想定する。レンタルサイクルの実証実験は高田でも行う方針。

石田裕一議長は「冬期間の取り組みが弱いと感じる。雪は観光のネックだが、どう冬の観光に取り組むか」と指摘。市文化観光部は「冬期間の観光客の底上げを目指す。イベントだけでなく(妙高市にある)スキー場との広域連携を目指していく」とした。

計画の詳細を含め4時間以上にわたり質疑が繰り返された

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