水産庁、大型マグロの個体記録義務付け検討 大間産無報告受け 違反時の罰則も

クロマグロの不正漁獲防止に向けた検討案が出された自民党部会=15日午前、自民党本部

 大間産クロマグロの漁獲量無報告事件を受け、水産庁は15日、不正漁獲の再発防止に向け、関連法の改正を検討していることを明らかにした。新たな対応策として、30キロ以上の大型マグロを対象に、1匹単位の漁獲数の報告や、重量などの情報の記録・保存を漁業者らに義務付ける。違反した場合の罰則化も盛り込む方針。

 同日の自民党水産部会で検討案を示した。

 同庁の担当者は「来年1月の通常国会に必要な法案を提出することも含め検討している」と説明。法改正を視野に入れるが、詳細は今後詰めるとしている。

 クロマグロは漁獲可能量が決まっており、漁業者らは水揚げの重量を都道府県や国に報告している。ただ、単価が高い大型魚は個体ごとに取引され、現行の制度では個体の情報を照合しにくくなっている。

 このため、法律で定められている報告事項に個体の数を加えるほか、情報の記録と保存を義務付ける。

 流通段階では、マグロを水揚げした漁船名や個体の重量、陸揚げ日などの情報を、解体までの各段階で買い手側が確認できるよう、業者に伝達・保存を義務化する。取引伝票への記載を求め、QRコードの活用も想定している。

 違反した場合は、刑事罰や行政罰を科すことも検討する。

 部会には水産団体の幹部らも出席。資源管理や公平性の観点から検討案に理解を示す一方で、新制度が現場の過度な負担にならないよう配慮を要請した。

 大間の事件を受け、同庁は検査や水揚げ管理を強化している。新年度から、庁内に「(仮称)漁獲管理官」の設置を計画。本年度補正予算案には、陸揚げ状況を常時監視できる設備や体制を構築するためのモデル事業などを盛り込んだ。

 同庁は来年の国際会議で漁獲の増枠を求める方針で、担当者は部会後の取材に「不正漁獲が起きると交渉に水を差しかねない。日本の取り組みを諸外国に訴えるとともに、水揚げを管理して資源を増やしていくことが重要だ」と語った。

© 株式会社東奥日報社