青森県内の里親施設、たたく児童の行為黙認 県が虐待・放棄と認定

 青森県は15日、県内のファミリーホーム(里親などが子どもを家庭に迎え入れて養育する施設)で、管理者が利用者の児童に身体的虐待やネグレクト(放棄)を行っていたと明らかにした。児童を泣きやませるために管理者が別の児童を呼び出し、その児童が泣いている児童をたたいたり外へ連れ出そうとしたりする行為を黙認していた。県は、里親の欠格事由に当たるとして、管理者の里親登録抹消などの処分を検討する。

 今回の身体的虐待・ネグレクト行為は、今年春ごろから頻繁に続いていたという。たたくなどの被害を受けた児童は2人で、この2人が泣いたりパニックに陥った際に、管理者が別の児童1人を呼び出していた。たたかせるなどの指示は直接出さなかったものの、暗にそそのかすような意味合いで、児童を呼び出していたとみられる。

 ファミリーホームは、虐待や経済的理由のため親元では育てられない児童5~6人ほどを、養育者の家庭で迎え入れる施設。児童の特定につながる可能性があるとして、県は施設の所在地など詳細を公表していない。住んでいた児童は全員保護され、施設は休止している。

 9月に児童相談所が通告し、関係者からの聞き取りや11月14日に開いた県審議会の部会への報告を経て、県が虐待・ネグレクトと認定した。ファミリーホームでの虐待は県内で初めて。

 15日に県庁で記者会見した県健康福祉部の工藤康成次長は「子どもを守れなかったこと、施設を監督する立場として監督不十分だったことに、おわび申し上げる」と陳謝した。

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