入所児童に「友人いないのでは」 看護師が心理的虐待 はまなす医療療育センター(青森・八戸市)

虐待の発生を受け、記者会見で頭を下げる盛島園長(中)ら=15日午後、八戸市のはまなす医療療育センター
看護師が入所児童に心理的虐待をしていたと県が認定した、はまなす医療療育センター

 青森県立の障害児入所施設・はまなす医療療育センター(八戸市)と県は15日、同センターの50代女性看護師が、10代男性入所児童に「友人がいないのではないか」という趣旨の発言をして、児童の自尊心を傷つける心理的虐待事案があったと発表した。センターは同日の記者会見で、盛島利文園長が謝罪。県は同日付で、センターに再発防止策を提出するよう求めた。

 センターは日本赤十字社県支部が指定管理者として運営する。肢体不自由と重症心身障害の病床があり、計約50人が入所している。

 看護師は2月17日夕、肢体不自由児病棟内の6人部屋で、入所児童に友人の有無や過去の交友関係に関する発言をした。居室には、他に3人の児童がいた。施設内での連絡の不備がきっかけとなり、看護師と児童は1時間ほどやりとりしていた。児童が3日後、別の職員に訴えた。

 看護師は現在、児童と関わる業務には携わっていない。センターは日赤本社の規定に基づき、処分を検討する。

 事実関係の調査に時間がかかったとして、センターは発生から3カ月後の5月に県へ事案を報告。県は関係者からの聞き取り、11月14日に開いた県審議会の部会からの意見聴取を経て、心理的虐待と認定した。

 盛島園長は「今回の事案を重く受け止め、再発防止策について組織を挙げて取り組み、信頼回復に努める」と述べた。山田康子看護部長は「(看護師は)自分の発言が虐待になるとは考えていなかったようだ。看護職として利用者の尊厳を守り、優しくするという倫理的態度が欠けていた。今後は肝に銘じて対応していきたい」と話した。

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