トラヴィス・スコット、【アストロワールド】の事故の影響について初めて語る「いつもそれについて考えている」

トラヴィス・スコットは、2021年11月5日に米ヒューストンで開催された【アストロワールド・フェスティバル】で起きた、10人のファンが死亡し、数百人が負傷した群衆事故の自身への影響についてあまり語ってこなかった。しかし、GQが毎年発行している“Men of the Year”特集の新しいインタビューで、この悲劇が自身のアルバム『ユートピア』にどのような影響を与えたか、そしてあの暗い日に失われた命と向き合おうと現在ももがいていることを初めて語った。

彼はライターのクリス・ヒースに、「ただひたすら打ちのめされたよ。うん。いつもそれについて考えている。あのファンたちは俺の家族みたいなものだった」と語った。トラヴィスはまた、そうした気持ちが『ユートピア』にどのように反映されているのかについて、「音楽を作るということは、人生で起こること、自分の人生で起こることについて考えることであり、物事に目を向けることなんだ。(多くの)家族にとって、街にとって、あの瞬間は壊滅的だった。そしてアルバムを作ることに、完成させることになった時……俺がアルバム制作に復帰したのは、多分何か月も、何か月も、何か月も後になってからだった。音楽の世界に戻って、音楽に取り組んで、それに着手することで、制作やサウンドにエネルギーの一部を注げてアルバムを完成させたという意味でセラピーのようだった」と同誌に語っている。

「自分にも痛みがある」とファンに気づいてほしいと願うトラヴィスは、『ユートピア』の曲「My Eyes」は【アストロワールド】の死に言及しており、「俺が日常的に対処していること、そしてそれが誤解されかねないという事実、人生や人生のあらゆる面での葛藤。常に重荷を背負わされる。それを背負っているんだよね。そして、俺の目を通してのビジョン」を表していると語った。

この楽曲でトラヴィスは、「その夜を再生すると、俺のすぐそばには、僕と一緒にノッてる人たちの海しか見えない/ステージから飛び降りて子供を救えたらならスコッティは何でもしていただろうと彼らが知っていたなら」などとラップしている。彼は「My Eyes」を書いている時に、そのエモーショナルな歌詞が「ただ出てきた」と明かし、「すごい瞬間だった。この曲は俺にとってエモーショナルなんだ。アルバムの中で一番好きな曲のひとつだ。あのバースは俺にとって大きな意味がある」」と述べた。

この作品からファンに何を得てほしいかについて彼は、このアルバムが“彼が日常的に見ていること”だけでなく、彼の痛みや懸念を表現できていることを願うと語った。「そして毎日、物事の変化を見つけ、物事を良くし、自分自身を良くしたいと思っている。つまり、俺もみんなと同じようにいろいろなことを経験する。そして最近も、想像もできなかったようなことを経験したんだ」と彼は話している。

19か月に及ぶ捜査の後、ヒューストンの大陪審は今年6月、トラヴィスと他の【アストロワールド】主催者は刑事責任を問われないと決定した。しかし、9月に彼は、自身や他の人々に対して起こされた数百の訴訟に関連する民事宣誓証言で、何時間もの尋問に直面した。現在までに、フェスティバルの悲劇に関連する1,500件以上の有効な訴訟があり、最初の裁判は2024年5月6日に予定されている。

トラヴィスはまた、元パートナーのカイリー・ジェンナーとの間にもうけた二人の子供のうち、長女ストーミーちゃんとの関係や、『ユートピア』は当初ブロードウェイの舞台として構想していたことについても語っている。彼は、高名な劇作家であるジェレミー・O・ハリス(『Slave Play』)と会い、ブロードウェイ・スタイルのプロダクションを実現できないか検討したそうだ。彼は、「“シン・シティ”みたいな。フランク・ミラーみたいなスタイルで。漫画のようだけど、立体的にして、“ファンタジア”のようなハイレベルなものも取り入れた」演出を世界中のスタジアムやアリーナで上演したかったようだ。

また、子供の頃に腎臓専門医になる勉強に夢中になった彼は、近いうちに大学に戻り、ハーバード大学で建築を学ぶつもりだとも語った。彼はすでにこのボストンの名門大学を何度か訪れ、入学手続きについて調べている。「入学するためには努力しなければならない。近道はさせてくれないよ」と彼は言い、【サーカス・マキシマス・ワールドツアー】を終えた後に、この急激な方向転換が待っているかもしれないと示唆した。そして、4年間の全課程を修了するつもりだが、「もちろん、まだ音楽を作るよ」と彼は約束している。

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