【リニア】水問題解決策「田代ダム案」めぐり慎重な知事に対しJR東海社長は“実現に向け集中”…一方で県議による静岡工区視察も

リニア水問題の解決策として注目される「田代ダム案」。JR東海は10月、具体的な実施案を発表しましたが、川勝知事はあらためて慎重な姿勢を示しました。これをうけて、16日、JR東海の丹羽社長は?

静岡工区の着工の目途が立たないリニア新幹線。大井川の水問題解決へカギを握る「田代ダム案」をめぐっては、10月、JR東海はダムを管理する東京電力との協議がまとまったとして、具体的な実施案を発表。その上で県や利水関係者に了解を求めました。大井川の水問題解決に向けようやく道筋が見えたかたちになりましたが、先週の会見で川勝知事は…。

(川勝知事)

「(田代ダム案によって)水資源に影響がないということは、極めてがいぜん性としては低い。強い懸念を持っている。10か月分流れた水は戻ってこない。それが水資源に影響がないと断言するのは難しい」

「田代ダム案の実現で水問題が解決されるわけではない」ともとれる発言も。この発言に対し、16日、JR東海の丹羽社長は、田代ダム案の実現に向け集中する意向を示しました。

(JR東海 丹羽 俊介 社長)

「我々がやるべきは、(案の)了解を大井川利水関係協議会の会員にもらって、(東京電力と)締めの協議を進めていくことだと思っている」

こうした中、16日、静岡市北部にあるリニア静岡工区の工事現場を訪れたのが、県議会最大会派、自民改革会議の県議たち。自民党県議が視察したのは、知事が難色を示している、トンネル工事で出た残土の置き場です。

JRは「ツバクロ」という地域に、工事で出た土の大半を処理する計画ですが、県は、上流部で土石流が発生すると、盛り土を侵食するリスクがあるなどと指摘しています。

(自民改革会議 増田 享大 代表)

「盛り土が完了するまでに何年かかかる?雨の心配な時季は?積んで押さえるぐらいでいいのか?」

(JR東海の担当者)

「雨が予想されるときはシート敷いて、水を浸透させないようにする。(土を)積むたびに排水溝も設置する」

一方、視察に同行した地権者は「JRの計画に同意する」として、早期の着工を訴えました。

(地権者 十山 鈴木 康平 取締役)

「(盛り土の)傾斜は、もとの山に比べると緩やか。(JR東海に)管理用の道路も付けていただける。使い勝手の良い場所になると思っている」

自民党県議は「田代ダム」など、約7時間にわたり現場を視察しました。終了後、自民改革会議の増田代表は…

(自民改革会議 増田 享大 代表)

「県や国の会議が進んでいるが、その知見を取り入れて、いろいろな対策が考えられているとあらためて感じた。必要な議論は議会でもやっていく、地域の皆さんにも今の状況や変化を理解してもらうことは(県にも)求めていく」

その上で、増田代表は、残土の置き場などJRの計画について、一定の理解を示しました。

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