犬が『寒いです』と飼い主に伝えているサイン5選 その行動や仕草に「わかりづらいときもある」「対策は?」

犬が『寒いです』と飼い主に伝えているサインは?

犬は体が被毛に覆われているため、一見寒さに強そうに見えます。しかし実際は、被毛がシングルコート(下毛がなく上毛のみ)の犬や小型犬、子犬、老犬など、寒さに弱い犬も少なくありません。

寒さを感じると、犬はそれを行動や仕草で飼い主に伝えます。犬が『寒いです』と飼い主に伝えているサインをご紹介します。

1.震える

犬も人も、寒さを感じるとシバリングという現象が起こります。シバリングとは、寒さを感じたときに筋肉を小刻みに動かすことで熱を発生させ、体温を保とうとする生理現象です。つまり、寒いと体が小刻みに震えるのです。

この震えは、分かりやすい犬の『寒いです』サインですが、犬が震えるのは寒いときだけではありません。犬は恐怖や不安、痛みなど、さまざまな原因で震えます。

そのため愛犬が震えているときは愛犬の様子や状況をよく観察して、震えの原因を正しく見極めることが大事です。

2.体を丸める

犬は寒いとき体を小さく丸めることがよくあります。その姿はまるでドーナツのようです。

寒いときに体を小さく丸めるのは、体の表面積を小さくして体温が奪われるのを防ぐためです。寒ければ寒いほど、ギュッと小さく体を丸めます。

しかし寒さに関係なく普段から丸まって寝る犬がいたり、体調不良や痛みのサインだったりすることもあるので、やはり飼い主による観察と見極めが大事です。

3.動きたがらない

人と同様に、犬も寒いと動きたがらなくなることがあります。その主な理由は、体温を維持するためです。また寒さで筋肉が硬直して動きが鈍くなったり、動くことでさらに寒さを感じるのを嫌がったりしていることもあります。

寒さ対策をしても動くのを嫌がる場合は、体調不良の可能性があるので注意が必要です。

4.人に体をくっつける

犬は寒さを感じると、人に体をくっつけることもあります。これは、暖を取るためです。犬は人と密着すると暖かいことを知っているようです。

恐怖や不安を感じたときに、安心感を得るために人にくっつきたがることもありますが、寒い日に体をくっつけてきたら『寒いです』サインと解釈していいでしょう。

5.水をあまり飲まない

寒さが厳しい日や寒い環境下において、犬の飲水量が減るときは『寒いです』サインと考えられます。水を飲むとさらに体が冷えるため、寒いと水をあまり飲まなくなります。

飲水量の低下は尿路結石や膀胱炎の原因になるため、寒さ対策をしてもあまり水を飲まない場合は工夫が必要です。ぬるま湯(38℃程度)にしたり、お水にささみの茹で汁などを加えて、風味付けをしたりすると飲んでくれる場合があります。

愛犬が『寒いです』サインを見せたら?

寒さを感じている犬には、適切な対策が必要です。愛犬が『寒いです』サインを見せたら、愛犬の健康を守るために以下の対策を考慮しましょう。

1.部屋を暖かくする

部屋で過ごしているときに愛犬が『寒いです』サインを見せたら、暖房器具を使って部屋を暖かくしましょう。

寒い時期に犬が快適に過ごせる室温の目安は20℃前後です。ただし、外気温や個体差によって快適な温度は異なるため、愛犬の様子を見ながら調整する必要があります。

暖房を使用すると室内が乾燥しがちなため、加湿器などを使って湿度を50〜60%に保つようにすることも大事です。温度計や湿度計は、犬の体高に合わせて設置するのがおすすめです。

愛犬がヒーターやストーブに近づきすぎてやけどをしたり、暖房器具や加湿器のコードをかじって感電をしたりしないように、安全対策を万全に行いましょう。

2.服を着せる

散歩時や外出時、愛犬が寒さで震えたり動かなくなったりする場合は、服を着せるのがおすすめです。冬の散歩や外出の際は、風を通しにくい素材の服を選ぶとともに、日中の暖かい時間に出かけるようにするといいでしょう。

犬の服は寒さ対策になりますが、常に着せていると被毛に毛玉ができやすくなったり、蒸れて皮膚トラブルを起こしたりすることがあります。そのため、暖かい部屋では服を脱がせることをおすすめします。

3.暖かい犬用ベッドやブランケットを用意する

冬場は愛犬の寒さを和らげるために、ボアやフリースなどの暖かい素材の犬用ベッドを用意してあげるのが理想的です。暖かい素材のドーム型のベッドは保温性に優れているため、寒がりな犬におすすめです。

暖かいベッドでも寒そうにしている場合は、ベッドにブランケットを置いてあげるといいでしょう。

まとめ

犬も寒さを感じることがあり、その場合にはご紹介したサインを見せて、飼い主に『寒いです』と伝えます。寒さは体調不良の原因になりますので、飼い主は愛犬の『寒いです』サインを見逃さないようにしましょう。甲状腺機能低下症のように、病気によっては寒がることが症状の1つの場合があります。よほどの寒さでないと寒がらない場合が多いですが、体調や犬種によつては寒がることがあります。

そしてそのサインに気づいたら、ご紹介した寒さ対策を行って、愛犬を寒さから守ってあげてくださいね。

(獣医師監修:平松育子)

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