ガザの「地域支える病院」懸念 国境なき医師団の退避邦人

パレスチナ自治区ガザの様子を語る国境なき医師団の白根麻衣子さん

 イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザから退避した国際組織、国境なき医師団(MSF)スタッフの白根麻衣子さん(36)が16日、共同通信の取材に応じた。15日にイスラエル軍が突入したガザ最大の医療機関シファ病院は「設備が充実し、地域を支える病院」だが、戦闘が続けば「助かる人も助からなくなる」と懸念を示した。

 白根さんは5月にガザに赴任。人事などを担当したが戦闘開始を受けてエジプトに退避し、今月5日、日本に帰国した。

 在任中、シファ病院には会議などで週に1度訪れた。同病院は700床を抱え、集中治療室(ICU)などの設備もそろう。入院患者には重病患者も多いため「院外への退避は難しく、今も多くが残っているだろう」と指摘。敷地でハマス戦闘員や武器を見かけたことはないと説明した。

 ガザにはMSFのパレスチナ人スタッフ約300人が残っている。

 「国際人道法で守られているはずの病院や学校が攻撃されたことに憤りを感じる」と話し、イスラエルとハマス双方は直ちに停戦するべきだと訴えた。

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