県産米、際立つ1等比率 全国4位の88.1% 降水量と水管理で猛暑影響最小限に

本県と他県の主要品種の1等米比率(%)

 猛暑の影響で2023年産のコメの1等米比率が全国的に低迷する中、本県では影響が最小限にとどまっている。農林水産省によると、9月末時点の1等米比率の全国平均は59.6%で過去最低となった。これに対し県産米は全体で88.1%と、長野(95.6%)、岩手(92.5%)、千葉(88.3%)の3県に続く全国4位。特に、高温に強いとされる本県オリジナル品種「とちぎの星」は94.1%に上った。県は引き続き、農家への技術支援や将来を見据えた品種開発などを進める考え。

 コメは出穂後に成長する登熟期(7~8月)に高温にさらされると、収穫後に白く濁るなどの高温障害が発生するとされている。今夏は記録的な猛暑により高温障害が発生し、全国の1等米比率が低迷した。

 一方、本県産のコメを品種別で見ると、検査数量が千トン以上の品種のうち1等米比率が最も高かったのがとちぎの星。22年産(23年3月末時点)の96.8%から2.7ポイント下がったものの、高水準を維持した。

 県生産振興課によると、とちぎの星は登熟期に高温耐性があることから、猛暑でも収量や品質の維持が期待できる。担当者は「特に今年はとちぎの星の特性がよく現れた」と指摘する。

 このほか、本県産の「コシヒカリ」の1等米比率は87.4%、「なすひかり」が88.0%だった。22年産と比べると、それぞれ5.0ポイント減、6.1ポイント減となったが、他県と比べると下げ幅は一定程度にとどまった。

 全国有数の米どころ、新潟県は猛暑と水不足の影響を大きく受け、コシヒカリの1等米比率はわずか3.6%。22年産の1等米比率が98.7%に上った山形県の「つや姫」も23年産は63.0%と大幅に下落した。

 本県は一定の降水量と、農家の適切な水管理もあり、各品種とも品質確保につながったとみられる。他県でも、高温に耐性があるという新潟県の「新之助」の1等米比率は97.3%と高い割合になった。

 同課は「今年の結果を踏まえ、暑さに強い品種への切り替えや適切な水管理などが必要になってくる」と強調。地域の実情に応じたコメ生産の推進や、品質をさらに高める技術指導、より高温耐性のある品種開発も進めるとしている。

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