医師死亡…母親の診療に不満「絶対殺す」とメモした息子発砲 法廷で殺意否定 メモに「殺す」と書いた理由は「怒りを鎮めるため。私なりのアンガーマネジメント」と説明…撃たれた医師は心臓破裂

さいたま地方裁判所=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県ふじみ野市の住宅で昨年1月、医師=当時(44)=が散弾銃で射殺されるなど医療関係者3人が死傷した立てこもり事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職の男(67)の裁判員裁判の第9回公判が15日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。弁護側の被告人質問で男は、自身が犯行前に医師らへの殺害をほのめかすような旨を記載したメモ紙について「怒りを鎮めるため」と説明し、改めて殺意を否定した。

 質問の中心となったのは、争点にもなっている医師らへの殺意の有無。男は犯行以前にも、自身の母親の診療に関わる医療従事者に対して不満などを感じると、内容を添えた上で「絶対殺す」などと記載したメモ紙を残していたことがあった。書いた理由について問われた男は「私なりのアンガーマネジメントで、怒りを鎮めるためだった」と述べた。

 また、犯行当日に書いたとされるメモ紙に記載された「断じる」という言葉の意味については「是か非かを問うという意味だった」とし、危害を加える意思ではないと主張。殺意については繰り返し否定した。

 起訴状などによると、男は昨年1月27日、自宅で散弾銃を発砲して医師を心臓破裂で死亡させ、理学療法士の男性=当時(41)=に肝損傷などの重傷を負わせた。さらに、医療相談員の男性=同(32)=に催涙スプレーを放ち、路上にいた別の医療相談員の男性=同(42)=に別の散弾銃を放って殺害しようとしたとされる。

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