“マイペースに楽しめる秋”みぃつけた 芸術、紅葉、食― まるごと楽しめる栃木  #私の好きなとちぎ レジャースポット巡り④

とちぎ花センター

 季節は秋真っただ中。紅葉はもちろん、スポーツに芸術、食欲のシーズンだ。今回の#私の好きなとちぎ レジャースポット巡りの行き先は「栃木市」。市内の施設や紅葉スポットを巡り、“マイペースに楽しめる秋”を見つけてきました。

 宇都宮から1時間ちょっと車を走らせ向かったのは、栃木市岩舟町下津原の「とちぎ花センター」。草木染や寄せ植えなど、植物を使った体験教室を週末に開催していると聞き、ワクワクしながら門をくぐった。

 今回はハーバリウム作りに挑戦。ハーバリウムコーディネーターで体験担当の大竹広恵(おおたけひろえ)さん(56)の案内で会場に入ると、材料となる色とりどりの植物が机の上にずらり。その数なんと100種類以上。草花の色を1度抜いて、着色したプリザーブドフラワーだという。大竹さんは「参加者の要望に応えていくうちに増えた。こんなに種類が多いのはここだけなのでは」と笑う。

 早速、見本の完成品を見ながらどの材料を使おうかと頭を悩ませる。秋も深まる紅葉の季節-ということで、今回は暖色でまとめることに。ヒメツバキやソフトミニカスミ、ポアプランツ、黄色のアジサイなどをチョイスした。

 選んだ材料を瓶の横に並べ、できあがりをイメージする。「この色をここに入れた方がいい」と大竹さん。アドバイスを受けながら完成形のイメージが膨らんだので、瓶にピンセットで材料を詰めていく。狭い瓶の中、ピンセットで植物を扱うのは想像以上に難しい。何度も出し入れを繰り返し、全ての材料が入れ終わると、瓶の中に“秋”があふれた。

 最後にオイルをゆっくりと入れると、花びらは透け、一気に立体感が増した。1時間足らずであっという間におしゃれなハーバリウムの完成だ。

 ハーバリウム作りは季節によって、クリスマスやバレンタインなどテーマを変えて開催している。特に女性や子どもに人気で、ハマる人続出という。

 われながら上出来の作品を眺めながら、玄関に飾ろうか、職場に飾ろうかと考える。また違うテーマでも作ってみたい。私もハーバリウム作りのとりこになってしまったみたいだ。

 じっくり作業に集中していたら、あっという間にお昼時。次は紅葉をめでつつ、秋の食欲を満たしに行こう。

 とちぎ花センターから車で約20分。山道を登ってたどりついたのは、紅葉の名所「太平山」の山頂に立つ茶屋「山田家」。太平山では山田家を含め9軒の茶屋が営業しており、各店で「太平山三大名物」を提供している。三大名物とは「卵焼き」「だんご」「焼き鳥」のことで、各店でこだわりや味が異なる。紅葉散策した際の食事やおやつにぴったりだ。

 山田家は代表の委文博(ひとりひろし)さん(72)が現在16代目を務める老舗茶屋で、「太平山神社」に隣接している。食事を楽しみながら、栃木市街地も一望できる絶景スポットだ。ハイキング客や参拝客はもちろん、県外などからのリピーターも訪れるという。

 早速、三大名物が全て食べられる「名物セット(税込み1300円)」を注文。のんびり景色を眺めながら待っていると、作りたての分厚い卵焼きと、あんこたっぷりのだんご、つやつやのタレが食欲をそそる焼き鳥が一つの盆に乗せられてやってきた。

 卵焼きは甘みとコクのある市内産の卵にこだわり、無添加のかつおだしで味付けている。ふわふわの食感とやさしい味わいがたまらない。もちもちのだんごは白と緑(よもぎ)の2色。白だけ、緑だけ、ミックスと好みを伝えれば対応してくれるという。なめらかなこしあんと相性抜群だ。焼き鳥の鶏肉は生まれて40~50日のひなの肉。焼きたてはもちろん、冷めてもやわらかい。タレはつぎ足して作っているという。

 3品を少しずつ順々に食べ進めると、そのバランスの良さに気がつく。リピーターがいるのも納得だ。「三大名物を食べてリフレッシュしてもらえたら最高です」と委文さん。秋色に染まった木々や眼下に広がる街並みを楽しみ、名物グルメに舌鼓-。ゆったりとぜいたくな時間を過ごし、身も心もリフレッシュした。

 芸術、紅葉、食。この秋は、全部楽しめてしまう栃木市を堪能してみては?

選び抜いた材料。暖色系で秋らしく
オイルを入れて仕上げ
完成したハーバリウム
眼下に広がる栃木市街地
バランス抜群の「名物セット」
太平山の紅葉=2019年11月撮影

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