“クマ出没マップ”県が作成…冬眠前「今が一番危険」万が一遭遇したらどう行動すべきか専門家に聞く(静岡県)

今が一番危険な時期ということです。静岡県内で相次ぐクマの目撃情報。県はクマ出没マップを作成し、注意を呼びかけていますが、万が一、遭遇した場合どう行動すべきか。専門家に聞きました。

全国的にも相次ぐクマの目撃情報、県内でも目撃が相次いでいます。

(勝俣 宜彦 記者)

「時刻は12時半を過ぎたところです。先週、同じ時間帯にこのあたりでクマの目撃情報があったということです」

こちらの静岡市葵区水見色では、11月7日、土木工事の作業員から「岩場でクマを見た」と通報があったということです。その後、調査を行ったところ、クマの痕跡は見つからなかったということですが、県は注意を呼び掛けています。

県によりますと、クマの目撃情報は、10月中旬に、河津町で見つかって以降、16日までに44件と急増していて、県民の関心が高まっているということです。こうした状況に、県は「クマ出没マップ」を作成し、県民や県外からの観光客に注意を促しています。

(県自然保護課 小澤 真典 さん)

「県では人身被害は発生していないが、目撃情報は増えている。注意喚起のために目撃情報を視覚化したマップを作成した。自分の身を守るために参考にしてほしい」

一方、県は目撃情報には、カモシカやイノシシなどを見間違えていることもあるため、クマに対し敏感になり過ぎず、冷静に状況を把握して欲しいと話しています。

それでは、実際にクマに遭遇した時、どう対応するべきか、野生動物の生態に詳しい森林・林業研究センターの大橋正孝さんに聞きました。

まず、クマはどんな場所に出没するのでしょうか。

(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)

「動物は開けた場所を避ける。やぶが発達しているような場所。こちらはお茶が放棄されて伸び放題になっているため、動物が隠れるにはいい場所。川沿い、沢沿いは動物が移動に使うには最適」

クマに遭遇した場合、クマとの距離で対応の仕方を変えた方がよいということで、記者が実際にやってみると…

(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)

「死んだふりというは正しくはない、致命傷になる部分を守ってうつぶせに防御する。これは本当に距離が近いときにやる動作」

そのほかにも、鈴のような音の出るものやクマよけスプレー、万が一、クマが襲ってきた時のために棒や、山での作業で使う鉈をぶら下げておくことも良いそうです。一方、クマと至近距離でなく遭遇した際は、クマを驚かさないことが重要だということです。

(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)

「背を向けて走ってしまうのは、追いかけてきて襲い掛かることがあるので絶対避けたい。後ずさりをするように、その場を立ち去ることがまず大事」

そのうえで、クマが好む場所を人間が作らないことも重要だと大橋さんは言います。

(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)

「冬はクマは冬眠する。その前は食欲旺盛、死に物狂いでエサを求めている。この時期にクマが各地で出没するのは、山のエサが不足していると考えられる。普段よりも広く動き回りエサを探している。人里にカキやクリが放置されていると、クマは甘いものに目がないので食べあさることがある」「匂いがするもの、エサになりそうなものは撤去してもらうことが、クマ出没の情報がある場合は重要」

身を守ることも大切ですが、クマが出没しない環境づくりにも目を向ける必要がありそうです。

(スタジオ解説)

県によりますと、クマの目撃情報は、10月中旬に、河津町で見つかって以降、16日までで44件と急増していて、クマに関する県民の関心が高まっています。

その一方で、クマによる人身被害はこれまで発生していませんが、目撃情報が増加したため、これまでの目撃情報を視覚化した「クマ出没マップ」を作成し、注意を促しています。この情報は、熊の目撃情報を元に、実際に現地調査を行って足跡などの痕跡を調べ「クマではないかと判断したものを」マップに落とし込んでいるということす。さらに、地図上の緑で示されている範囲は、クマの生息が確認されている地域です。それ以外の黄色い地域などでも、ことしは目撃情報がでてきているという状況です。

今回、取材に協力してくれた森林・林業研究センターの大橋さんによりますと「クマが冬眠する直前のこの時期は、食欲旺盛で、死に物狂いでエサを求めていて、普段よりも広く動き回っている」ので、警戒するよう呼び掛けています。

県の担当者は「クマは気温がもっと低くなりエサがなくなると冬眠したり、活動範囲が狭くなるので、そういった状況になるまで警戒してほしい」と話しています。

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