近ツー 年内に過大請求分を青森県に返還意向

 青森県は17日、新型コロナウイルスワクチン関連の業務を委託した近畿日本ツーリスト青森支店が、2021~22年度の2年間で、委託料合わせて1163万円を過大請求していたと明らかにした。発注時の見積もりより実働スタッフが少なかったにもかかわらず、見積もり時点での金額を基準に同社が県へ委託料を請求し、県が支払っていた。同社は年内に過大分を返金する意向を示した。

 過大請求があったのは、ワクチン接種予約コールセンターや、広域接種会場の運営など計5事業。支払い済みの契約額合計6億6771万円のうち、1163万円が過大だった。

 同社による過大請求問題が全国的に相次いだことを受け、青森支店が4月、青森県でも過大請求の可能性がある旨を県に報告。両者で精査を進めていた。

 病欠などを理由に、スタッフの実働人数や実働時間が少なかった場合の事務処理ミスが原因という。悪質性がなく、警察側が「立件は難しい」との見方を示したことなどから、県は刑事告訴しない。

 県の千田昭裕新型コロナウイルス感染症対策監は「税金で行っている事業で、不適切な経理処理から過大請求につながり、遺憾に思う。近畿日本ツーリストには、委託業務の適正な実施を求めるとともに、県としても確認を徹底していきたい」と話した。

 近畿日本ツーリスト本社の担当者は、東奥日報の取材に「県民の皆さまに対し、誠に申し訳なく思っている。しっかりと再発防止を図り、信頼回復に努める」と答えた。

 15日には青森市発注の新型コロナ患者移送事業の入札を巡る談合の疑いがあるとして、同社青森支店を含む旅行5社に公正取引委員会が立ち入り検査に入った。ただ、県は今回の過大請求事案とは無関係としている。

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