ひみ寒ぶり宣言はいつ? 300本水揚げも「まだ」

水揚げされたブリ=氷見市の氷見漁港

  ●関係者心待ち

 氷見市の氷見魚市場で17日、ブリ約300本が水揚げされた。今月に入って水揚げが500本を超す日も出てきたが、氷見漁協の担当者は、まだ漁獲量が安定しないとし、シーズンの本格到来を告げる「ひみ寒ぶり宣言」には早いとの見方だ。一方、市内の店頭にはブリが並ぶようになり、民宿、飲食店関係者からは「形が良く量も昨年より多くなりそうだ」と、宣言を心待ちにする声が聞かれる。

 ひみ寒ぶりは冬場、富山湾の定置網で捕獲され、氷見魚市場で競りにかけられたブリとなる。氷見漁協や仲買人、漁業者らでつくる判定委員会が大きさや形、本数などを総合的に判断し、出荷の開始と終了を宣言する。仲卸業者や鮮魚店、料理店などは、期間中のみ、ひみ寒ぶりのブランドで提供が可能となる。

 17日の水揚げでは、7~9キロが中心だった。10キロを超す大物もあったが、氷見漁協の担当者は「まだ身が細い」とし、ひみ寒ぶりらしい、でっぷりとした魚はまだ少ないとみている。宣言を出すには、安定した漁獲量の見込めることが条件となるが、富山湾にはブリの大きな群れがまだ南下していないとみられる。

 昨シーズンの宣言は11月26日。ひみ寒ぶりが商標登録された2011年度以降で11月中に宣言が出されたのは計7シーズンとなる。21年度は不漁で初めて宣言が越年し、書き入れ時の12月にブランドを冠したブリを提供できなかった。昨年度もシーズン終了が1月13日と過去最も早く、提供期間は短かった。

 市内の鮮魚店や料理店主は早期の宣言を期待している。鮮魚店経営の男性は「おととしや昨年よりブリの形はいい。今年は漁期も長くなってほしい」と語った。

  ●今季は大ぶり?3歳以上多め/県水産研予想、2歳は平年下回る

 富山県水産研究所は17日、ブリの10月~来年3月の漁況予報を発表した。3歳以上(体重7キロ以上)の漁獲量は、平年(過去10年平均)の132トンをやや上回る145トンと予想した。一方、2歳(4キロ前後)は平年の43トンをかなり下回る19トンとの予測で、大ぶりの漁獲が期待される。

 県のブリの漁獲量は、3歳以上が2020年205トン、21年81トン、22年276トン、2歳が20年7トン、21年60トン、22年61トンで推移している。

 北上期(4~8月)の新潟、秋田両県の漁獲量から推計した富山、石川、新潟県の定置網における3歳以上の合計漁獲量は平年比120%の993トンになる見通し。2歳については、0歳時点の漁獲量が平年比45%だったことから、かなり少なくなると予測した。研究所は山形沖と能登半島沖の水温差が平年より小さいことから、富山湾にやや来遊しにくいと分析した。

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