住民敷いた芝生連続盗難 七尾の公園、苦労が水の泡

芝の一部が盗まれた公園=七尾市松百町の香津浦公園

  ●再設置も計113枚被害「許さん」、窃盗事件で捜査

 七尾市松百(まっとう)町の香津浦(かつら)公園で、住民が敷いた芝生が相次いで盗難に遭ったことが17日までに分かった。丸一日かけて敷いた芝生が10月下旬に盗まれ、再び敷いた後の今月4日さらに被害が確認された。被害は芝生マット計113枚で、購入価格は1万円弱だが、土がむき出しとなった憩いの場所を目にした住民からは「苦労が水の泡。許せない」と憤る声が上がった。被害届を受けた七尾署は窃盗事件として捜査している。

 盗まれた芝生マットの総面積は計約12平方メートルとなる。10月25日、住民でつくる「香津浦クラブ」の浜田司代表(64)=同市松百新町=が芝の様子を見に行くと、30枚がめくり取られていることに気が付いた。

 すぐに七尾署に被害を届け、4日後に会員が再び敷いたが、11月4日の朝にも83枚が盗まれたことが確認された。発覚を遅らせるためか、複数箇所から少しずつ持ち去られていた。

 浜田さんは毎朝公園の様子を確認しており、深夜に盗まれた可能性が高いとみられる。芝生のマットはホームセンターなどで、1平方メートル当たり700~800円で販売しているが、秋から冬にかけて在庫がなくなるという。住民は「自宅の庭を整備するのに、ちょうどいいとでも思ったのか」といぶかる。

 香津浦クラブは七尾市の「ふるさと創生ゆめ基金」を活用し、昨年から公園の整備を始めた。傷んだ芝生約380平方メートルを新しくする計画で、昨年は155平方メートル、残った部分を今年張り替えた。

 クラブ会員7人が10月中旬、公園の芝生として一般的に植えられる高麗(こうらい)芝のマットを、1枚1枚手作業で敷いた。芝を定着させるために砂をかける作業もあり、朝から晩まで苦労して設置した。

 クラブは2度目の盗難を受け、犯人を捜索している旨の看板を設置し、盗難をやめるよう訴えた。防犯カメラの設置も検討している。浜田さんは「地域の人がボランティアで頑張っているのに、まさか、こんなことをされるとは思わなかった」と語気を強めた。

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